2015年3月11日水曜日

投資家にとってのROA (前編)

前記事で「PBR=PER×ROE」という教科書的な等式を示したうえで、私自身は低PER、高ROE銘柄が好みであることを述べた。
ところでROEに関してはもう一つ、教科書的な分解式が存在する。

「ROE = ROA × 財務レバレッジ(総資産÷自己資本)」

PBRの式よりは感覚的にかなり理解しやすいはずだし、「そんな数式、ジョーシキじゃん」と思われる投資家も多いと思う。
まあ見ての通り、ROAが一定であるならば、自己資本比率を下げて(即ち負債依存率を高めて)財務レバレッジを高めればROEは向上しますよ、ということを上記の式は示している。

一方、別に財務レバレッジを高めなくたって、ROAを上げればROEも上がるということも同時に示しているのだが、ここでまた一つ考えてみたい。
投資家の持分に対するリターンはROEであるということは誰しも口にするが、企業活動における資産効率を計る観点からは、ROEとROA、どちらが適しているのだろうか。

 ほとんどの企業は自己資本と借入の両方によって資金調達を行い、そのお金を使って事業に必要な資産(例えば建物や設備装置などの固定資産)を取得したりし ている。人財力だとかブランドだとか、そういう計りにくい価値はあるのだろうが、帳簿に載った資産面から言えば、利益を生み出しているのは固定資産だ。お金に色はない以上、固定資産は自己資本と負債、双方によって取得されているものと見なせるので、企業活動の効率性は総資産利益率、ROAで計測される、と言うことが可能なように思われもする。

実際、ROAを高めることはビジネスモデルや環境の変化など、一朝一夕には変化し難い要素が必要となることが多く一筋縄ではいかないのに比べ、ROEを高めようと思えば、自社株買いで財務レバレッジを高めるなどの財務政策である程度までは操作可能だ。
だとすれば、モダンポートフォリオ理論が想定する、リスクを嫌う一般的な投資家は、同じ高ROE企業を買うにしても、「低ROA・高財務レバレッジ・高ROE」よりは、「高ROA・低財務レバレッジ・高ROE」銘柄を選好した方が、安定したリターンを望めるのではないかという仮説が成り立つ。

プロシップ、センチュリー21、DVxなど、この条件に完全にマッチする銘柄であるし、私も実際に保有している。これらの銘柄は高ROA状態が揺らぐ心配が殆どなく、成長期待も株価にはあまり織り込まれていないため、地道な配当と、地味な値上がり益によって私に安定したリターンをもたらしてくれる。

ただ、理論と結果が伴っているからと言って、ここで思考停止して良いのか。
上記の銘柄群がなぜ高ROAなのか、そして低ROA高ROE企業は、高ROA高ROE企業に対して劣っていると断じて良いのか。
次回の記事で、さらに掘り下げていきたい。

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