2017年3月26日日曜日

紋切型辞典 -個人投資家の人気ワード-

凄腕投資家
この呼称を堂々と口にできる鈍感な感覚の者のみが栄誉ある称号を授かる資格を得る。凄腕の定義など誰も気にしていないので、深く考えず自信を持って言い切ることが何より重要である。


もっと勉強が必要だ
口にしたが最後、何の役にも立たない方向性の勉強ばかりに時間を浪費してしまう呪いの言葉。


1億円
かつては宝くじの懸賞金を意味していた。懸賞金が引き上げられて宝くじ用語としての使途が減少すると、この金額のキリの良さに株式投資家が目を付け、言語としての"1億円"の価値が復権した。


格言
他人の考えを手っ取り早くインストールする際に役立つ。トイレットペーパーに印字しておくと、毎日の排便時に気が引き締まる。


セミリタイア
いくばくかの資金を貯めて勤め人を辞めること。"セミ"と付いているが昆虫のことではない。単なる"リタイア"だと世捨て人感が際立ってしまうため、英語のwouldやcouldと同様、単語自体に意味はない婉曲表現の役割を担っている。


ストック・ビジネス
和製英語。キャピタル・ストックから継続的な収益が生まれる様から転じて、顧客契約などの無形資産に対してもストックという用語が使われるようになった。まさにストック(株式)から利益を得る投資家がストック・ビジネスに惹かれるのは自然な成り行きだが、昨今は経営者にまでその流行が広がりをみせ、企業のプレゼン資料にも頻出する用語に成長した。


バリュー投資
正確な定義は誰も知らない。グレアム型バリュー投資とバフェット型バリュー投資があり、前者は資産価値からのアプローチ、後者は本源的価値からアプローチから割安と判断される銘柄に投資する手法とされる(棒読み)。ネーミングセンスに欠けるので、大した投資法ではないと思われる。


グロース投資
成長する企業に投資すれば素晴らしいリターンが得られるという信仰。成長それ自体は超過リターンの源泉にならないという一般論は邪教扱いされる。信仰が先鋭化すると、"誰にでもわかるビジネスで誰にでもわかる成長をしている企業に投資すれば報われる"という超理論に発展する。


会社四季報
東洋経済新報社の定期刊行物。分厚いので主に鈍器として使われる。銘柄占いも書いてある。


~投資法
呪術の一種。これで本まで出した祈祷師も複数存在する。


シーゲル派
ジェレミー・シーゲルの著書を曲解し、連続増配する配当貴族銘柄に再投資し続けることを教条とする集団。読解力が不足しているという特徴がある。


免責事項
"この物語はフィクションであり、実在の人物とは関係ありません"
学芸会で出てくると自意識過剰の馬鹿だと思われるのが関の山。
"当ブログ内容は特定銘柄を推奨するものではありません。投資はくれぐれも自己責任でお願いします"
投資ブロガーは自意識過剰の馬鹿なので、これを読んでも読者は何とも思わない。書いた方は一端のブロガー気分に浸れるメリットしかないので使用が推奨される。

2017年3月21日火曜日

2016年 ウォーレン・バフェットの株主への手紙

我々の成したいこと

 バークシャーのバイス・チェアマンで私の相棒でもあるチャーリー・マンガーと私は、当社の一株当たり"平常"収益力は毎年増加していくと予想している。もちろん実際の会計収益は景気循環によって減少し得る。それどころか、大規模な保険金支払いやその他特殊要因により、アメリカ経済が好調な時にさえバークシャーの利益は減少する可能性がある。

 しかし、経済が好調であろうとなかろうと、時間とともに収益力を拡大していくのが我々の仕事だ。結局のところ、バークシャー経営陣は、あなた方の投下資本管理人として内部留保を有効に管理する役目を負っている。実際、2015年と2016年においてバークシャーはアメリカ企業で最も内部留保の多い会社となり、それらは毎年再投資されることによって2位以下をさらに引き離している。再投資されたお金はランク維持のためにも利益を生まなければならないのだ。

 普段、我々の事業の基礎的収益力がもたらす利益は目立たないが、まれにキャッシュレジスターがけたたましく鳴ることがある。チャーリーと私は大きな夢を見る以外に利益を拡大する魔法の計画を持ち合わせていないため、そういう機会が与えられた時、速やかに行動できるよう精神的にも財政的にも準備を欠かさない。何十年もの間、暗い雲が経済を覆いつくし、それらは簡単にお金を吹き飛ばすとする。そうしたどしゃ降り状態で、我々はティースプーンではなく大きなたらいをもって外に飛び出すだろう。そして実行するのだ。

 以前述べたように、我々は少しずつ投資活動で利益の大半を稼ぐ会社から、成長し価値あるビジネスを保有する企業へと移行している。この変革の立ち上げはまず小さな一歩からスタートした。バークシャーの有価証券投資による利益にたやすく隠れてしまうほど小規模な企業を買収したのだ。こうした慎重なアプローチにもかかわらず、私は1993年にデクスター・シューを4.3億ドルで買収するという実に酷いミスを犯した。デクスターの価値は買収後、すぐにゼロになった。悪い話はこれだけに留まらない。私は買収に際して25,203株のバークシャー株式を使ってしまったのだ。2016年現在、その株式価値は60億ドルもある。

 その失態に続いて、現在の我々の方向性を決定づける3つの重要な出来事-2つはポジティブ、1つはネガティブ-が起きた。1996年初頭、我々はまだ保有していなかったGEICOの残り半分の株式を現金で取得した。この買収により、GEICOの位置づけはポートフォリオ・インベストメントから完全保有による事業運営ビジネスに切り替わった。GEICOはその無限の潜在力によってすぐに我々の事業の中核を占めるようになり、今では世界で最も価値ある損害保険会社になったと信じている。

 不幸なことに私はGEICOが1998年の後半にジェネラル・リーを買収する際、愚かにも船一杯のバークシャー株を使うことを承認してしまった。いくつかの問題を乗り越え、ジェネラル・リーは称賛されるべき優れた保険会社となった。それにもかかわらず、ジェネラル・リー買収のために272,200株のバークシャー株を新規発行し、21.8%の希薄化を起こしてしまったのは私の酷いミスで、バークシャー株主は利益よりもはるかに大きな損失を被った。(輝かしく見えても、褒め称えられるには程遠い買収だった)

 2000年初頭、この愚行を償うため、素晴らしい経営がなされている公益企業で、我々に大きな収益と社会的意義のある投資機会をもたらしてくれるミッドアメリカン・エナジー株の76%(今では90%になっている)を取得した。ミッドアメリカンの"現金"取得-私は学んだのだ-は、我々が現在進む道を確固たるものにした。すなわち (1)保険事業をビジネスの基軸とし; (2)大規模で多様化された保険以外の事業を精力的に買収し; (3)それらの取引を事業が稼ぎ出す内部収益でまかなう。(今日では私はバークシャー株の新規発行よりも、大腸内視鏡検査の準備をしたいと思うようになった)

 我々の債券と株式からなるポートフォリオは1998年以降、堅調に推移し、控えめに言っても巨額のキャピタルゲイン、利息、配当をもたらした。これらの投資収益は事業買収の資金調達の大きな助けとなっている。型にはまらないやり方ではあるが、バークシャーの資産配分に関する2種類のアプローチは我々に本物のエッジ(競争力)を与えている。

 次の表は我々が今の方向性に本格的に舵を切った1999年からのフィナンシャル・レコードだ。18年間にバークシャーの発行済み株式総数は8.3%増加し、そのほとんどはBNSFの買収によるものだ。これは意義ある株式発行だったということができる。



(1) 事業損益には投資先の配当収益を含む。ただしキャピタルゲイン/ロスは含まない。
(2) 投資損益の大部分は実現したキャピタルゲイン/ロスだが、GAAPが要求したものについては未実現の損失を含む

 売却タイミングによって発生はランダムではありつつも、投資利益が今後もバークシャー全体でかなりの額を占め、ビジネス買収の原資になってくれると期待している。同時にバークシャー傘下の事業会社のCEOたちも個々の事業利益を増やすことに集中し、そのために時には企業買収を実行するだろう。バークシャー株の新規発行を避ける限り、あらゆる利益改善は一株利益の向上に直結する。


 引用部分に通底するメッセージは「株式発行の愚」ということになるだろうか。原則としてあらゆる増資は愚策であるというのは私も何度か主張してきたので大いに頷くところだが、目を凝らすとバフェットの隠れたメッセージが浮かび上がる。第2パラグラフにおいて、バフェットはバークシャーの内部留保が米国屈指の規模となったことを誇っている。口では常々バークシャーの自社株買いに含みを持たせているものの、結局のところバフェットは投資狂であり、投資の貴重な原資である内部留保を配当や自社株買いで減少させるようなことはなかろうという印象を強固にする手紙になっているように思える。私がバークシャー株を購入しないのは、まさにそれが理由なのだ。

2017年3月15日水曜日

不確実性が減退する世界 -正当化される高PER-

 一部市場の株価指標が過去最高値を更新し続けている。しかもPERの上昇がその最大の要因であるときたら、マーケットの熱狂を心配し、近いうちに市場に冷や水を浴びせられるのではないかと考えるのも至極当然のことだろう。
 翻って私は市場の変調には何の注意も払わずに、毎月の給与をせっせと株式購入に充てている。
「株価なんてどうせ予測ができないから」という決め台詞で逃げることはよそうと思う。だから踏み込んでこう言おう。「株価が急落して低いバリュエーションに戻る」とはほとんど思っていないから仕方なく株式を購入し続けているという方がより正確に私の考えを表している。つまり、私は株価の予測をするという暴挙に及んでいる。

 さて、私は近頃の先進国市場におけるPER高騰を投資家の熱狂によるものではなく、理論的背景を伴った合理的なものであると認識している。
 一般的に、PERの高騰が正当化されるのは次の4つの場合だけだ。
 ① 取引コスト(手数料、税金)が下がる時
 ② 企業業績の将来成長率が上方修正される時
 ③ 金利(リスクフリー・レート)が下がる時
 ④ リスク・プレミアムが縮小する時

 ①から順に見ていこう。投資家にとって手数料や配当・譲渡益課税などの取引コストは確実なマイナスリターンとして牙を剝く。これらのコストが下がればその分だけバリュエーションを高く設定しても報われやすくなる。しかし手数料の引き下げは今に始まったことではないし、この理由を以って今進行しつつある高PER化を正当化するのは無理がある。
 次に②だ。多くの個人投資家は利益成長率を基準としてPERの高低を判断しているし、私も通常はそのように株式購入を検討している。「高成長なら高PERで当然でしょ」という感じに。だが今回は個別銘柄ではなく市場全体のPERの妥当性を検証しようとしており、私は世界経済や企業業績全体の方向性を予測する意思はない。そして世の投資家たちもトランプ政権下で企業成長が加速すると本気で信じているわけではあるまい。よって私が述べた「理論的背景」は、②の将来成長率に関連するものではない。
 最後に③と④だが、これについては本題に入る前に基礎的な補足をしておきたい。PERとは株価が年間利益の何倍かを表すものであり、その逆数は株式益回りだ。PER20倍の株式益回りは1/20で5%であり、これはその企業収益がゼロ成長であれば投資家は5%の利回りを期待できることを意味している。株式益回りを期待リターンと言い換えてもいい。そして期待リターンの構成内容は、リスクフリー・レートとリスク・プレミアムだ。
 期待リターン = リスクフリー・レート + リスク・プレミアム

 PERが上がるということは、その逆数である期待リターンが下がることを意味する。この事実と上記等式により、③と④の意味がお分かりいただけることと思う。A=B+Cなら、Aが下がるにはBかC、もしくはその両方が下がる必要がある。
 ③については現状に当てはまらない。先進国の名目金利は今、徐々に上がっている局面だからだ。
 残るは④。そうだ、私はPER上昇はリスク・プレミアムの縮小を背景とするものであり、それは完全に理にかなっていると考えている。

 異論ある人もあろうが、投資におけるリスクとは標準偏差、つまるところ企業業績の振れ幅の大きさだ。大きく振れる企業業績は投資家の期待利回りを不安定にするので、安全域を確保するために投資家は株価により多くのリスク・プレミアムをつける。リスク・プレミアムをつけるというのは、予想される利益に対して大きなディスカウントを要求するということを意味する。では、私はなぜリスク・プレミアムの縮小が理にかなっていると思うのか。理由はほぼ上で述べているに等しい。企業業績の振れ幅がこれからますます小さくなり、投資家もそのことに気づき始めているからだ。業績の振れ幅が小さくなるというのは、要するに景気の波が小さくなると言っている。

 景気循環はなぜ起こるのだろうか。大きな要因として設備投資サイクルがある。例えば新興国が成長して建設ラッシュが起き、建築素材が不足する。需要にこたえるため製鉄会社は大きな工場を建てる。ビルが売れ不動産会社や建築会社が儲かり、製鉄会社が儲かり、その工場を作ったエンジニアリング会社、鉄鋼材料と完成品を運んだ海運会社、造船会社、その他膨大な周辺産業も同じく儲かる。好景気が到来する。しかし消耗材ではないビルは一度土地に根を生やしたら数十年は建て替えられない。製鉄会社の工場はオーバーキャパシティとなる。海運会社も運ぶものがなくなる。そして業績が悪化して社員の給与が減る。交際費も減ってネオン街の所得にも打撃を与える。不景気が到来する。全てはビルや工場建設などの設備投資のロットが大きいために引き起こされている。
 しかし今や重厚長大型産業の経済全体に与える影響はかつてとは比べようもないほど小さくなり、大手を振っているのはITやサービス業だ。これらはそもそも設備投資がほとんど必要ないか、ロット当たりの投資が少ないか、クラウドサービスのように使用した期間に応じた料金だけ支払うサブスクリプション方式の投資が多い。大型投資が必要な産業の存在感縮小と、非設備投資型産業の興隆、サブスクリプション型投資の浸透による投資額の平準化により、大規模な景気循環は過去の遺物と化す可能性に私は思いを馳せている。
景気循環が小幅なものになることにより、投資家は企業業績を予測しやすくなり、これまで要求していたリスク・プレミアムを縮小させる。
「不確実性が減退する世界」
 このような世界が投資家にとって良いことなのかどうかは私は知らない。単に不確実性が減退するだけならともかく、リスク・プレミアムという他人の恐怖がもたらす果実まで同時になくなってしまうのなら、株式の債券化が進行することと同義だ。恐怖を操縦することに自信を持っている投資家なら、大恐慌によって不確実性の高まりによるリスク・プレミアム拡大を切に願うべきだろう。

2017年3月10日金曜日

ブログ開始2周年および投稿数200回記念

みのむし「おめでとうございます]
プレノン「…」
みのむし「おめでとうございます」
プレノン「…」
みのむし「おめでとうございます」
プレノン「はいはいどうもありがとうございます」
みのむし「量は質であると誰かが言っていました。2周年と200回というのは非営利の個人ブログとしてはそこそこ立派だと思います」
プレノン「ちょっといいですか。タイトルに誤りがありますね。2周年というのはその通り今日が正確にブログ開始丸2年ですが、投稿数は200回目ではなく、今回で193です」
みのむし「はあ」
プレノン「僕は数字を扱う仕事をしているので、こういうところ、適当にしたくないんですよね」
みのむし「はあ」
プレノン「はあじゃないよ、気のない返事してさあ。文字だけのやり取りだからって、鼻くそほじってるのが見えないとでも思ってるのか」
みのむし「言いがかりはよしてください。どうやって見えたんですか。証拠あるんですか。名誉を汚すのはやめていただきたい」
プレノン「ほじってたじゃん」
みのむし「ほじってません」
プレノン「いや、ほじってた。ムキになるってことは、ほじってたってことだよ」
みのむし「ほじってません」
プレノン「認めるまで僕は絶対に引かないからな。鼻ほじ論争で2周年記念のこの回を埋め尽くしてもいい。そういう覚悟が、僕にはある」
みのむし「ほじってました…」
プレノン「よろしい。ところで最初にいいこと言いましたね」
みのむし「なにがです」
プレノン「量とは質でもあるってことです」
みのむし「人の言葉を引用しただけです」
プレノン「量と質がイコールであるかどうかはさておき、このペースであと2年も続ければ、傑出した個人投資家ブログになる気がしますよ」
みのむし「個人の見解ですね」
プレノン「個人の見解です」
みのむし「少し思ったんですけどね」
プレノン「はい」
みのむし「女性読者が少ないことを嘆いていたじゃないですか」
プレノン「そうでしたっけ」
みのむし「モテたいんでしょ」
プレノン「いえ特に。既婚者だし」
みのむし「はっきり言って、このままじゃいつまでたっても男の読者ばかりで、アクセス数も中途半端なニッチブログから抜け出すことはできないです。私だけじゃなく、誰でもそう考えるはずです」
プレノン「人の話聞いてるのかよ」
みのむし「そこでちょっと思ったんですが、文体を村上春樹みたいにしてはどうでしょう」
プレノン「村上春樹、めちゃくちゃオジサンだけど」
みのむし「右を見ても左を見ても、イケてる雰囲気ブログは村上春樹の文体を真似してます」
プレノン「違うと思うけど」
みのむし「ほんとですって」
プレノン「興味ないな。好きじゃないし。というか、また鼻くそほじってる」
みのむし「ほじってません」
プレノン「ほじってました」
みのむし「ほじってません」
プレノン「おい、いいのか。延々とこの話題を続けても」
みのむし「どうぞ。貴方のブログですし」
プレノン「というわけで、皆様、今後ともよろしくお願いいたします」

2017年3月6日月曜日

アマゾン・プルーフ企業を探せ

 なんだかんだ言ってもオムニチャネルへの取り組みなど「変革」に着手するだけの時間的猶予を与えられている日本の百貨店と違い、北米ショッピングモール業界には今、苛烈な死が待ったなしで押し寄せている。昨年、全870店舗のうち100店舗の閉鎖を決めたメーシーズ。長年赤字が続き毎年閉店を実行した結果、店舗数がピーク時の4割程度になっているシアーズ。同じく百貨店のJCペニーや多数のアパレル企業も来客数減少で閉店を余儀なくされている。介錯人はインターネット・ショッピングだ。「全ての小売業者はアマゾンに駆逐される」という表現に思わず頷かざるを得ない展開が、現実に起こっている。アメリカの小売業者に投資するにあたって、アマゾン・プルーフ(耐性)があるか否かは必須要件になる。ただあらかじめ白状しておきたい。この環境下にあっても堅調に業績を伸ばしている小売事業者は確かにあった。あったが、そこから何らかの表面的な規則性を見出すことはついに出来なかった。例えば私が投資するアスレチック・フットウェア専門店のフット・ロッカー。こちらの既存店売上高およびEPSの対前年比較推移からご覧いただこう。


 ネット・ショッピングに苦戦しているようには到底思えない素晴らしい数値だが、フット・ロッカーの店舗の多くは冒頭で死の危機に瀕していると表現したショッピング・モール内にある。では、スニーカーという商品の特性が実店舗への来店を促しているのだろうか。確かにスニーカーは一般的に高価で、購入者のこだわりも強い。オンラインでサイズだけチェックしてボタン一つで購入というわけにはいかないからだろう。私はまずそう考えた。これならばショッピング・モール全般が不調だとしても、シューズカテゴリーだけは別だという例外説明が成り立つ。実際、必ずしも的外れな見解ではないはずだ。だが、それでは同業のフィニッシュ・ラインの業績が冴えないことや、スニーカー専門ではないもののスポーツ専門チェーンのスポーツ・オーソリティが経営破たんしたことを説明できない。フット・ロッカーの好調さには明らかに「スニーカーを売っているから」という以外のファクターが存在している。手がかりを掴むためフット・ロッカーとフィニッシュ・ラインの企業サイトを見比べたり、米国投資家のブログを読んだりしみてみたが、両社業績の差について納得感のある理由は見つからなかった。他のカテゴリーでも私の安直なイメージはことごとく外れる。ウォル・マートやダラー・ゼネラル、1ドルショップのダラー・ツリーらの業績は小売業の中では比較的健闘しているのでディスカウント・チェーンなら大丈夫なのかと思っても、ターゲットはここ最近既存店売上が前年割れをしているし、シアーズ傘下のKマートの業績は百貨店セグメントのシアーズと大差ない悲惨さだったりする。ディスカウント店という大まかすぎるカテゴライズではアマゾン・プルーフの有無を到底説明しきれない。
 そこで私は諦めた。いくつかの企業の対前年既存店売上高推移を集計したグラフを貼り付けることにより、ひっそりとこの記事を終えたいと思う。


 目を引くのがコストコとホーム・デポ。特にホーム・デポは強く、住宅リフォーム材なんかはやっぱり実物を見て買わないといけないということなのか。どうせ買うなら、こういう安心感のある企業を買いたいものだ。しかしホーム・デポの予想PERは21倍ととても高いから、私はPER14倍のフット・ロッカーをおっかなびっくり保有し続けることとしたい。大多数の投資家にとっての最適解は、無理して小売関連銘柄に近づかないことであることはあえて付け加えるまでもない。

2017年3月1日水曜日

マイ・ポートフォリオ(2017年2月末)


年初来リターン (税・配当込み) : +7.3%
投資元本 : 26.5百万円


 運用資産(AUM)が50百万円を初めて突破。大統領選後の上昇ペースがかなり速い。ただ売買は殆ど行っておらず、今年に入ってからは2月の記事に何度か登場したヘインズブランズをちびちび買い増しているだけ。自身のQ3決算で16%下落してその後少し戻したかと思いきや、昨日はディスカウント・チェーンであるターゲット(TGT)の既存店前年割れ決算に引きずられて再び下落。逆張り投資家にとって絶好の買い場を提供してくれている。ヘインズの企業としての魅力(Moatと言い換えてもいい)は他の銘柄群と比較するとやや劣っていると思うが、それを補う割安さと、保有比率がまだ小さいという2点が足元で購入を進めている動機になる。
 小売り企業は軒並みアマゾンにやられていて、私のポートフォリオにあるフット・ロッカーなど一部を除いて結構悲惨な数字になっている。近々、北米リテール企業の苦戦について記事をまとめたい。

 昨年の大規模改変の結果、今のポートフォリオは成長度合いやセクターの散らばり具合などからかなりバランスが良いと感じており、何かを売って何かを買うということは基本的に考えていない。
 上昇相場の中でも買いたい銘柄、買いたいセクターはたくさんありすぎて目移りするくらいだ。だが、中途半端すぎるポジションでは腰を据えて投資する気にならず、またすぐに売りたくなってしまう(ポジションの小さい日本株の出入りが激しいのはその誘惑に負けているから)。そのため新規銘柄を買いたい欲求をひたすら抑えて、現在の陣容を強化していくことが私が自分に課した今年の宿題だ。