2017年10月15日日曜日

のれんにまつわるエトセトラ

 投資家の大半は誤解している。もっとも、特に不都合はないので誤解したままでも問題ない。今日は"のれん"の話をしよう。

 のれんは簿価純資産と買収価格の差である。多分そう思っているはずだ。それは会計学的には広義ののれんに位置づけられる。広義ののれんには何が含まれているのかを考えるには、会社が誕生し、その株主価値が簿価純資産を超えていく過程を思い描いてみるのがいい。

 その目的のため、私はここに情報通信会社プレノン・テレコムを創設する。最初のバランスシートは、現金20億円、資本金20億円。以下の例文では、便宜的に事業損益を無視している。

<第一段階>

株主からの出資金により設備投資を行う。
 金額を20億円としよう。バランスシートは、現金20億円が減って固定資産20億円が増える。
 この時点では株主価値と簿価純資産は一致している。

<第二段階>

総務省にロビー活動をして周波数のライセンスを割り当てられる
 ライセンスを獲得したことによる会計仕訳は発生しない。そのため、簿価純資産は第一段階から変化がない。
 しかし、このライセンスはプレノン・テレコムの事業にとって非常に価値があるものであることは言を待たない。
 この時点で、当社はバランスシートに認識されないライセンス権という無形資産を獲得する。当該ライセンスが生み出すであろう将来キャッシュフローを割引現在価値に換算すると、10億円の評価額となりそうだ。

<第三段階>

研究開発活動により通信技術が向上した。
 通信技術向上はライセンス権と同様、会計上は資産計上されない。会計は自己創設のれんを認めないのだ。したがって、簿価純資産は会社創立時から変化がない。
 もちろん通信技術向上は事業を行う上で競争上の優位性となり、当社の将来キャッシュフローを増す効果が認められる。したがって、オフバランスに通信テクノロジーという無形資産が認識される。ライセンス権と同様、評価額は10億円と試算された。

<第四段階>

エッジの効いた広告を打ち出し、加入者が急増する。
 ここで認識される無形資産は、顧客基盤とブランド価値だ。もちろん会計上はバランスシートに認識されない。それぞれ10億円との評価額と試算された。

<第五段階>

プレノン・テレコムがソフトバンクに80億円で買収された。
 今、会社のバランスシートはどうなっているだろうかと自問しかけたところですぐに思い出したことだろう。今まで起きた会計仕訳は設備投資だけだ。つまり、簿価純資産は創設時と同じ20億円。
 簿価純資産20億円の会社を80億円で買収したソフトバンクのバランスシートはどうなるか。
 冒頭で述べた"広義ののれん"は、80億円と20億円の差額である60億円となるのだが、ここまで読まれた方は60億円を細かく分解できることを知っている。
 すなわち、プレノン・テレコム社の80億円の価値は、
1. 簿価純資産 20億円
2. ライセンス権 10億円
3. 通信テクノロジー 10億円
4. 顧客基盤 10億円
5. ブランド価値 10億円
 で構成される。
 2から5まではのれんと一括りにするのではなく、まさしく上記の名称でソフトバンクのバランスシートに記帳される。おそらく、ライセンス権は非償却となり、通信テクノロジー、顧客基盤、ブランド価値は、合理的な耐用年数で規則償却されることになるだろう。
 よくある誤解として、IFRS(国際会計基準)を採用していると、買収価格と簿価純資産の差額はのれんとして減価償却されないというものがあるが、ここで見たように、大半は無形資産として独自に評価額が算定され、無形資産の性質的に必要とあらば償却されるのだ。

 ところで、1から5を合計しても60億円にしかならず、買収額80億円と差があるじゃないかと疑問に思われたことと思う。
 答えを言う前に質問したいが、ソフトバンクはなぜ無形資産価値を全て足し合わせても60億円の価値しかないプレノン・テレコムに20億円の金額を上乗せしたのだろうか。
 "シナジー効果"、まさにこれがその答えだ。20億円はシナジー効果で、狭義ののれんはシナジー効果を意味する。他のあらゆる要素-例えば単に買収者がビッドに競り勝つために非合理的な入札をして跳ね上がった買収額も含め-は、原則として無形資産として買収者のバランスシートに計上され、のれんとは区別される。


 覚えていて損はないと思うが、だからどうしたという意見もよくわかる。とりあえず、お疲れ様でした。

2017年10月10日火曜日

バンガードは何が違うか

 "資産運用会社"というより、もはや"運用インフラ会社"というのが実態に近くなっている2大巨頭のブラックロックとバンガード。
 ブラックロックへの投資にあたっては最大ライバルのバンガードがどのような企業であるのかという理解も欠かせない。

 バンガードは非上場会社のため、残念ながら市場を通じてその株を取引することはできない。そして会社形態はミューチュアル・カンパニー、日本語訳をすれば相互会社だ。同社の低価格はその特異な企業構造による部分が最も大きい。

 相互会社とは何か。日本では日本生命や明治安田生命のように、生命保険会社が相互会社の形態を採っていることが多い。顧客と社員と株主が一致するような組織であり、他には生協のような協同組合も相互会社と同じような構造になっている。加入者が寄り集まって相互会社の社員となり(それは預金の拠出や年会費支払いや保険料支払いなど)、分配を得る(低金利での借入や食料品購入や保険金受取りなど)。オフィスの中でそれを切り盛りしている、一般に私たちが社員とイメージする人たちは職員と呼ばれる。
 相互会社であるバンガードの投資信託やETFを保有する契約者は、投資した商品の損益だけでなく、バンガード社の運営状況にも利害を持つことになる。すなわち同社の株主になることと同義だ。株主になったからには加入者増加でバンガード社が利益を上げればその恩恵に与れることになるが、その利益の還元は通常の株式会社と違い配当という形で行われるのではなく、信託報酬の引き下げによって実現される。
 資産運用会社のコストの多くは人件費という名の固定費となっているため、加入者増加で手数料収入が増加すれば、利益率はぐんぐん改善していく。いや、"利益率の改善"という表現はブラックロックに相応しく、バンガードにとっては"投資単位当たりのコスト低減"となる。ETFへの資金流入加速によって業界には多額のネットインフローが発生しており、バンガードはそれをテコに経費率の引き下げを行っている。手数料が下がればさらなるインフローを呼び込み、それがまた手数料引き下げに繋がる。
 ブラックロックのような上場会社の場合そうはいかない。きっちり資産運用手数料で利益を出して、それを投資家へ還元しないとCEOが解任されてしまうからだ。私のような外部株主の存在が、ブラックロックのバンガードに対する低コスト化の障害となっているのだ。
 もちろん、外部株主というアウトサイダーの存在はブラックロックやiShares ETFの投資家にとって悪いことばかりではない。市場が不調な時、あるいは資金が流出する時、その損失をアウトサイダー株主が代わりに引き受けてくれる。バンガードの場合は投資家と株主が一体となっているため、株価下落を食らった挙句、手数料上昇(株主の立場として考えればバンガード株価の下落に相当)というダブルパンチが待っている。また、これは個人的な意見に過ぎないのだが、資本が有り余る21世紀において「相互扶助」というコンセプトの下に構築された組織は、純然たる資本主義的存在に対して脆弱なのではないかと考えている。バンガードの株主-すなわち同社が設定するファンドやETFの投資家-が同社の長期展望に興味を持ってその運営の巧拙をモニタリングし続けるということは、非常に困難なように思う。なぜなら、バンガードへの出資には時価がなく、その運営が上手くいこうとそうでなかろうと、株主はわずかな経費率の変動にしか利害を持たないからだ。その点、ブラックロックの株主ははるかに大きなリスクを負っているため、必要とあらばローレンス・フィンクCEOの更迭も辞さないだろうし、だからこそCEOもより危機感を持って仕事に取り組むであろう。
 もちろんバンガードはそんな悠長な経営をしていないのは十分承知している。指数会社に支払う手数料を少しでも下げようと、指数の乗り換えや自社開発も行っている。徹底した低コストを追求する姿勢が社のDNAに組み込まれており、ブラックロック株主としても脅威を覚えざるを得ない。この姿勢は紛れもなく、バンガード創始者のジョン・ボーグルのものだろう。

 退屈そうなパッシブ運用業界で繰り広げられる熾烈な戦いの行く末を観察するのも、投資家に許された娯楽の一つだ。

2017年10月6日金曜日

ROEは膨らし粉 その2 -ROAでもROICでもなくROEの理由-

 直前の記事に対し、とても回答し甲斐のあるご質問をいただきました。

匿名 2017年10月5日 22:01
(前略)
1点質問があります。
今回のA国とB国のROEの差は基本的に生産性の差によって生じると考えます。しかし、実態の経済ではよく会社が低金利の元、借金して自社株を購入しております。
仮にA国が借金して自社株の半分を購入すれば、A国はB国と同じROEとなります。
A国の資産はB国同様に爆発的に増えていきます。(負債も爆発的に増えますが)しかし、本来A国の生産性はB国の半分しかありません。
A国は豊かになっているのでしょうか?
今の世の中、資産=ほとんど負債と考えます。

 要約すると「借入を増やしてレバレッジを効かせるという財務テクニックだけで高ROEを保っていても、それは本当に経済的に豊かであると言えるのか。」ということですね。

 質問文中にある"生産性"という言葉は、投下資本利益率(ROIC)と読み替えて問題ないと理解しました。
 さて、ROICの分母である投下資本は借入金と株主資本の2つで構成されますが、このうち借入金に対してはどれだけ高い投資効率をあげても時価の膨らし粉効果は発動せず、100万円の借入金は基本的に100万円の価値でしかありません。なぜなら銀行は企業が儲かっても貰える収益は最初に取り決めた利息分しかないからです。私が前エントリーでROICやROAを用いず、ROEだけに集中したのは、経済規模を増幅する力がROEにしか備わっていないことが理由です。

 ROE10%のA国とROE20%のB国、ROICに違いはなく、B国がA国に対して2倍のレバレッジをかけていることが両国のROEの差としましょう。つまり"生産性"に違いはない。

 B国企業は株主に報いるため、借入に頼ります。借入金はどうやって調達するでしょう。もちろん銀行から借ります。
 銀行は何を原資としてB国企業に貸し付けるでしょう。B国民の預金です
 B国民はなぜお金を銀行に預けているのでしょう。それは今のところこれといった使途がないからです。

 B国企業のROEは20%で、PBRは2.0倍でした。投下資本が借入金50万円、株主資本50万円で構成されている場合、企業価値(EV)は借入金50万円、株式価値100万円(50万円×PBR2.0倍)で、合計150万円となります。ここから、借入金のおかげで企業の投下資本が1.5倍の価値に増幅されていることがわかります。
 次にご質問の本質に迫ります。
「増幅された投下資本は、経済的豊かさと関係があるのか。」

 あります。それはなぜでしょう。
 ご質問者の前提では、借入金で自社株買いを行っている場合が想定されていましたのでその枠内で考えてみます。
 B国企業は借入金50万円のおかげでPBR2.0倍に評価された株式を投資家から買い付けます。その投資家はかつてB国企業に出資しましたが、いまや倍の値段で企業が買い取ってくれたわけです。投資家は儲けを手にして、それを消費に回したり、他の有望な企業への投資へ振り向け、B国経済が活性化する。こんな仕組みです。

 ここで起きたことはこう表現できます。
 もともとは使い道がなかったB国民の手元資金が銀行に預金され、企業に貸し付けられ、ROEが向上し、したがって時価が増幅し、増幅した価格で自社株買いを行い、投資家は売却益を手にし、資金が循環する。
 つまり、増幅するはずのなかった預金が増幅して、経済が回ったのです。

2017年10月5日木曜日

ROEは膨らし粉 その1

 低ROE社会は資本をブラックホールのように吸収する。
 高ROE社会は資本を増幅させる。

【前提】
市場は効率的であり、投資家の期待リターンは常に10%とする。
<市場全体のROE>
 A国 10%
 B国 20%

 新たな投資資金が上記2つの市場に投入される。
「PBR=ROE×PER」の式を適用すると、結果はあまりにシンプルだ。
 A国はPBRが1.0倍となる。
 B国はPBRが2.0倍となる。

 A国での100万円は100万円の価値しかない。
 B国での100万円は200万円の価値がある。
 これは単なる評価額のまやかしだろうか。
 もちろん違う。評価額に倍の差がついているのは、実際の投資金額がもたらす利益にも2倍の差があるからだ。

 ROEの高低は、経済の活力に直結する。
 B国はスタート時点でA国と同じ100万円しかもたないものの、ビジネスの巧みさによって時価を魔法のごとく倍に膨らませる。そして評価額だけではなく、A国が同じ資本で10万円の付加価値しか出せないのを尻目に、B国は20万円を生み出す。
 A国は元手100万円と1年目に生み出した10万円の利益の合算である110万円の期首資本に対して、2年目にはその10%である11万円の追加資本を生み出す。2年目の終わりの手元には121万円がある。PBR1.0倍のため、時価評価は実際資本と同じ121万円だ。
 魔法にかかったB国は、それどころではない。期首資本120万円に対し、2年目は24万円の追加資本を生み出す。PBR2.0倍のため、時価評価は実際資本の2倍、288万円だ。

 10年続くと最初の100万円はどうなるか。
 A国が生み出す累計追加資本は136万円。時価は236万円。
 B国が生み出す累計追加資本は416万円。時価は1,032万円。

「いやいや、B国の高ROEが全て経済成長だけで成し遂げられたと考えるのはフェアではない。A国よりたくさん株主還元して、自己資本を放出してROEの分母を抑えたからかもしれないだろう。つまり最終年度における資本の蓄積額はA国と大差ない可能性があるじゃないか。だとすればこれは単なる時価評価の差。リアルな経済活動とは切り離して考えるべきだ。」
 なるほど。しかし重要なことを忘れているのではないか。"株主へ還元"して企業から資本が流出したとしても、B国から流出しているわけではない。投資家の手元に資金が還流して、それらは消費であったり、別の有望企業の有望な投資の原資となり、大いなる循環に役立っているのだ。いや、仮に自国外の投資家に対して株主還元されたとしても、その時点で対外資本を自国に引き付けていることになるので、いずれにせよB国経済は活性化する。
 A国はROE10%とそれなりに立派な業績を上げているからいいものの、さらに低付加価値であるROE5%のZ国が存在する場合、投資資金は投資された瞬間に0.5倍の価値しかなくなってしまう。低ROE社会が資本をブラックホールのように吸収するとはそういうことだ。

 あなたはこれでもなお、ROEは投資と関係ないと世迷言を言うのか。経済的、物質的豊かさだけが幸せではないと。
 それもいいだろう。私の投資家でない部分は、その考えを支持する準備ができている。

2017年9月30日土曜日

マイ・ポートフォリオ(2017年9月末)

年初来リターン (円建・税・配当込み) +3.8%

一部売却:Philip Morris Int'l(PM), Allergan(AGN)
新規購入:Altria Group(MO), Microsoft(MSFT), Arista Networks(ANET)


 フットロッカー(FL)の売却で多額の繰越損失が発生したことを機に含み益銘柄の整理を行っている。


[タバコからタバコへ]
 ニコチン規制懸念で株価が下落したまま冴えない展開のMOに、PMから一部資金を引っ越しさせた。実際のところ規制がMOにどの程度の打撃を与えるのか不透明な部分はあるが、本当に政府の思惑通り喫煙者減少に繋がるのであれば、遅かれ早かれ欧州各国も同様の規制を採用し、PMの業績にも影響するだろう。ならば先に下がっているMOに一部の資金を引っ越しさせるのは得策だという判断が働いた。


[アラガンからマイクロソフトへ]
 ボトックスに次ぐ売上2位のドライアイ治療薬レスタシスが競合薬登場で減少に転じ始めたアラガン(AGN)のウェートを少し落とし、かつて保有していたマイクロソフト(MSFT)を再取得。スティーブ・バルマーCEO時代に持ってた時はバリュー株の代表選手みたいなバリュエーションだったMSFTも、すっかりグロース株になっちゃって…
 頻繁にWindowsやOfficeをアップグレードして企業や消費者に購入を促していた過去と決別し、Office365やクラウドサービスのAzureなど、アドビのように月額課金で稼ぐモデルへの転換が大成功している。これから少しずつポジションを増やしていく予定だ。


 これでアマゾン、マイクロソフトとクラウドで多くの利益を稼ぐ企業への投資額が増えてきたが、さらにクラウドへエクスポージャーを高めたいと思い、クラウドデータセンター内のイーサネットスイッチを開発・販売するアリスタネットワークス(ANET)を新規購入した。この会社、今、巨人シスコシステムズからシェアを奪い続けている。

 現在22銘柄保有。じわじわと増殖中。

2017年9月24日日曜日

寄り添う気持ちを忘れた悲しきミッキーマウス

「残虐非道のミッキーマウス」ってタイトルにしようと思ったんですけど、なんかそれだと凡庸な感じがしましてね。一般に流布するミッキーマウスの清廉なイメージに反した形容をつけるだけでオリジナリティが出るんじゃないかとか、そういう発想がすでに貧しい。タイトルで落ちが見えてるというか。「本当は怖いグリム童話」とかさ、そういうのはおなか一杯。まあグリム童話の方は奇をてらってるわけじゃなく、本当に怖いから"怖い"と言ってるだけなのかな。読んだことないからわかりません。とにかく少しでも凡庸さを避けようとして5秒くらい再考した結果、こういう物悲しい雰囲気が醸し出されるタイトルに変更してみました。
 共感能力がないミッキーマウス、悲しいですよね。いや、ないことが悲しいというより、かつてあったのに忘れてしまったことが悲しい。この感覚はきっとわかっていただけると信じています。もっとも普段の言動を観察していると、ミッキーマウスはどうも自分のことしか考えていない節があり、忘れるとかいう以前に寄り添う気持ちなどもともと持ち合わせていないんじゃないかという疑惑もあるわけです。自分さえ目立てばいいという態度が透けて見える。あの裏返った声、怪しいよ。どう考えても愉快な仲間たちを同列には見てないと思います。こう見えても人を見る目はあるつもりです。
 ただ、共感能力がないからなんだ、文句あるのかとミッキーマウスには逆ギレ気味に強く主張してもらいたい。何なら難癖をつける私を殴ってもいい。満員のディズニーファンを沸かせまくったステージの最後に、何の脈絡もなく逆ギレ。誰も文句言ってないのに…と唖然とする観客を置き去りにして、ますます怒りがヒートアップするミッキーマウス。デイジーが持ってるタンバリンを叩き落としたり、壁を蹴りまくって穴をあけたり。反抗期かよ。泣きじゃくる子供たち。慌てて警備員が取り押さえにかかるものの、学生時代に鍛えた柔道技で投げ飛ばしてしまう。投げ飛ばされた警備員の一人は肩を脱臼してしまい全治2週間。でも労災が下りて家族は一安心。そんなミッキーマウスを私は応援します。街宣車で世間に訴えるのもいいですね。「私には人に寄り添う気持ちがありません。ですが、それが悪いことでしょうか」と身振り手振りを交えて主張。ミッキーマウスの三文芝居も味わい深そうで是非見たい。応援してるぞ、なんて通行人に声をかけられるものの、反抗期なので良心的なファンをも睨みつけてしまう。SNSで一部始終をアップされ大炎上。「そんなネズミとは思いませんでした。幻滅です。」とかアホみたいなレスを大量に送り付けられた挙句、ハフポストの一面にも載ってしまう。
 ところで、ここまで投げ出さずに読んでくれている人はいるのだろうか。言い訳させてもらうと、別に私もミッキーマウスの話がしたいわけじゃないんです。生活していてミッキーマウスのことを考えることなんてほとんどないから。これだと私がミッキーマウスのことばかり考えているみたいじゃないか! ミッキーマウスにこだわっていると思われるのは非常に心外です。疑われるようなら、ミッキーマウスのことなど普段考えてもいないという複数の証拠を提示する用意がある。それくらい私はミッキーマウスのことなど考えていない。それだけは覚えておいていただきたい。でもグーフィーよりは認めてやってもいい。プルートと同じく犬がモチーフなのに、なんでプルートはただのペットで、グーフィーはセリフを与えられているんだよと苛立ちを覚えない人間はこの世にいないはずです。しかも喋り方からして明らかに馬鹿。それにしても犬同士で上下関係をつけるとは。教育上良くないのではないかという発想はないのでしょうか。本当に嘆かわしいと思います。そんなわけで、私は四六時中グーフィーのことを考えている。これだけキャラクターを憎んだのは、他にはマラカス野郎こと「いないいないばあっ!」のうーたんくらいですね。でもみんなかわいいので、これからも元気にやって欲しい。心からそう願っています。私が一番好きなのは、ドナルドダックです。