ベリサイン(VRSN) -並行する拡大と縮小-
これがどれほど堅牢で美味しいビジネスか、インターネットを使いこなしている読者の方々にはあえて説明するまでもない。Amazon.comやSalesforce.comなどは、社名にまで.comを入れて、インターネットサイトのアドレスと言えばドットコムであるという宣伝を行ってくれている。
実際のドメイン数推移をベリサインの決算プレゼン資料から抜粋しよう。
インターネットサイトを経由しないアプリ経済の躍進をものともせず、「.com」および「.net」ドメイン数は年率3-4%のペースで着実に増加し続けている。
インターネット世界における一等地を確保し競合らしい競合が存在しないという、それだけでも素晴らしい条件を持ちながら、ベリサインにはもう一つ特筆すべき魅力がある。当社は緩やかな成長の最中にありながら、既に「惰性」の領域に突入している。
どういうことか。それはグーグルやアマゾンのように、事業領域の拡大や近未来のテクノロジーの覇権を奪取しようと積極的な投資を行っているわけではないという点だ。その結果として、売上が増加しながらも、費用は減少傾向にある。次のグラフで、2017年Q1の売上高および営業費用を100とした場合の推移を表した。
ここから読み取れるメッセージは「私は陰の存在として、目立たずに金を稼ぎまくる」ということになるだろう。自身が保有する.comという最良の資産を最小のコストで運営し、キャッシュカウとしての存在に徹する。野心など微塵も感じられない実に清々しい戦略だ。このような企業のバランスシートはどうなるだろうか。ベリサインは米国企業だから無駄に現金を溜めこむことなどせず、稼いだ利益以上を自社株買いに充てる。ゆえに、債務超過である。
しかしベリサインにも唯一素晴らしくない点がある。予想PERが38倍にも達することだ。費用減で営業利益の増加率が高いといっても、売上成長率が一桁台前半の企業としてはいかにも高い。できれば、決算期待を下回っただとか、経済危機だとかで株価が急落しているところを拾いたいところだが、そのような好機がやってくる保証があるわけではない。万年割高なベリサイン株の買い時は「欲しいと思った時ならいつでも」なのかもしれない。
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『バウンド』ラナ&リリー・ウォシャウスキー
毎日更新されるのを楽しみに、このホームページを確認していました。更新は来月ののポートフォリオ報告かなと思っていましたので、非常にうれしいです。
返信削除ありがとうございます。まだ本調子でないので、更新確認はFeedlyなどを使って自動に確認できるようにしておいていただく方が便利かもしれません。
削除私も、更新されていないかなとたまに覗いておりました。無理のない範囲でまた更新していただけると、楽しみが増えます。またお待ちしております。
返信削除楽しい。そう言っていただけるのが何よりの励みです。
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