【設問】 適正PERを算出せよ
「この成長率ならこのくらいのPERが正当化される」というように、自分の期待リターンを満たすPER水準をざっくり肌感覚で掴んでおくことは重要だと思う。
そのためには理論が役に立つ。
今回は、ある前提の下、理論的な適正PERを愚直に計算してみよう。
企業Aは現在急成長中で、投資家はビジネスモデルや市場環境を勘案し、下記のような成長ストーリーを描いている。
今後5年間は年率20%成長。
しかし、6~10年後は市場の飽和により10%成長に落ちる。
11年度以降はさらに保守的に2%成長とする。
投資家は比較的欲張りなので、期待リターンは20%。
さて、この投資家にとって企業AのPERは何倍が妥当か。
ステップ2 : ターミナルバリュー(TV)を計算する。
11年目以降の永久成長率は2%。
TV = X10のEPS / (期待リターン -永久成長率)
= 401 / (20% - 2%)
= 2,226
ステップ3 : ターミナルバリューをX10に加算し、投資時点の割引現在価値を求める。
現価係数 = 1/(1+期待リターン)^N
各年度の割引現在価値 = EPS × 現価係数
投資時点の現在価値 = TV含む各年度の割引現在価値の累計
適正株価 = 割引現在価値
適正PER = 適正株価 / 投資時点EPS
= 1,248 / 100
= 12.5倍
期待リターン20%を満たすためには、企業Aのような高成長企業であってさえ、このような低PERでなければならない。そんな割安銘柄はそうそう転がっていないね。
ちなみに、期待リターンを10%まで下げて試算を行うと、適正PERは33.6倍となる。
これならいくつか候補銘柄があるかもしれない。
12.5倍と33.6倍。期待リターンを20%から10%に落とすだけで、選択の幅はぐっと広がる。
結局のところ、適正PERなんていうのは、あなたがどのくらいのリターンを期待するか次第だという、身も蓋もない結論となる。
そのためには理論が役に立つ。
今回は、ある前提の下、理論的な適正PERを愚直に計算してみよう。
【設問】
ある投資家が企業Aへの投資を検討している。企業Aは現在急成長中で、投資家はビジネスモデルや市場環境を勘案し、下記のような成長ストーリーを描いている。
今後5年間は年率20%成長。
しかし、6~10年後は市場の飽和により10%成長に落ちる。
11年度以降はさらに保守的に2%成長とする。
投資家は比較的欲張りなので、期待リターンは20%。
さて、この投資家にとって企業AのPERは何倍が妥当か。
【試算】
ステップ1 : 10年目までのEPS成長を計算する。ステップ2 : ターミナルバリュー(TV)を計算する。
11年目以降の永久成長率は2%。
TV = X10のEPS / (期待リターン -永久成長率)
= 401 / (20% - 2%)
= 2,226
ステップ3 : ターミナルバリューをX10に加算し、投資時点の割引現在価値を求める。
現価係数 = 1/(1+期待リターン)^N
各年度の割引現在価値 = EPS × 現価係数
投資時点の現在価値 = TV含む各年度の割引現在価値の累計
適正株価 = 割引現在価値
適正PER = 適正株価 / 投資時点EPS
= 1,248 / 100
= 12.5倍
【結論】
適正PERは12.5倍。期待リターン20%を満たすためには、企業Aのような高成長企業であってさえ、このような低PERでなければならない。そんな割安銘柄はそうそう転がっていないね。
ちなみに、期待リターンを10%まで下げて試算を行うと、適正PERは33.6倍となる。
これならいくつか候補銘柄があるかもしれない。
12.5倍と33.6倍。期待リターンを20%から10%に落とすだけで、選択の幅はぐっと広がる。
結局のところ、適正PERなんていうのは、あなたがどのくらいのリターンを期待するか次第だという、身も蓋もない結論となる。
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