2015年4月2日木曜日

[ 銘柄分析 ] 丹青社 (9743)


 事業内容がとても好みで、前から少し気になっていた。
 平成26年1月期を基点としてROEの改善が著しく、しかも予想PERが低いので決算短信を眺めてみた。

 まず、前期(平成27年1月期)と今期(平成28年1月期)の高ROEは、平成28年9月に予定されている本社移転に伴う旧本社ビル売却に支えられている。

 今期に売却するのだから売却益が計上されて当期利益を押し上げるというのはわかるが、なぜそれが前期の損益にも影響しているのか。それには税効果計算を理解する必要がある。

 これは前期に売却の意思決定をしたため、過去に減損していた当該資産の税務上の一時差異がスケジューリング可能となり、繰延税金資産を計上することになったためだ。繰延税金資産の相手勘定は税金費用のマイナスとなり、前期の当期利益を押し上げる。しかしこれは前期の本質的な利益とは何の関係もない。
 税効果会計は収益・費用アプローチではなく、資産・負債アプローチで計算されるため、何よりもまず期末の繰延税金資産・負債が適正価値となるよう設計されている。
 したがって、P/Lのわかりやすさはこのようにしばしば犠牲となってしまう。P/Lに反応しがちの投資家にとっては迷惑極まりない話だ。

 ちなみに前々期(平成26年1月期)の高ROEも税効果会計の罠による。
 過去に計上した税務上の繰越欠損金が、将来見通しの改善に伴って繰延税金資産を計上できるようになり、7億円の税金費用マイナスとなった。もちろん、前々期の損益とは直接的な関係はない。

 さて、上記の特殊を除くと、前々期、前期、今期ともROEは10%強となる。
 会社も「中長期的な目標値としては自己資本当期純利益率(ROE)10.0%を掲げており…」と言っている通り、これが丹青社の実力値なのだろう。まあ、高ROE銘柄の範疇には入らない水準だ。

 予想EPSは実力値では50円弱となり、割安に見えた予想PERも17倍程度。割安度は微妙な線だ。外注コスト増により今期比で増収減益となっていることも気になる。本社移転もマイナス要因。


 東京オリンピックに向けて一皮むける可能性も高い気がするが、業績数値には特筆すべき点はないので、これにて検討終了。

【結論】
購入見送り。

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