2019年 P的個別銘柄十傑


 この世には制約が多く、自由気ままなはずの個人投資家にあっても例外は適用されない。これぞと思う銘柄が存在しても、保有銘柄の含み益に存在する潜在的な税金が邪魔をして安易な乗換えを阻害する。したがって、私が開示しているポートフォリオは必ずしも現時点の自信を素直に反映しているわけではない。

 そんな事情もあり、ポートフォリオとは別に推奨銘柄を挙げて、そのパフォーマンスを運用ポートフォリオや市場平均と戦わせてみるのは、投資家的不自由さから脱却できると同時に、極めて個人投資家ブログ的な遊戯であると考える。ブログ更新頻度を上げるからには、このような余興とも積極的に戯れてみせなければならないのだ。

 それでは今年のゲームを始めよう。
「マイ・ポートフォリオ」「S&P500」「ナスダック指数」に勝利することを企図し、私はここにバロンズに倣って推奨銘柄を10種選んで公表する。
既に1月も半分以上過ぎているが、まだ決算発表が本格化する前なので後出しじゃんけんにはならないだろう。


1. アルファベット(GOOG)

一時期は株価1000ドルでデッドヒートを繰り広げていたアマゾンにすっかり引き離されてしまったアルファベット。当ブログやツイッターでたびたび当社検索事業のモートに潜む潜在的なリスクや財務施策のやる気のなさに苦言を呈してきたものの、短期的には死角が見当たらない強靭な事業とバランスシートを保持していることは事実だ。それらを考慮すると、伸びる利益と低迷する株価によって同社はバリュー銘柄の領域に両足を突っ込んでいる。
[保有済み]

2. アンセム(ANTM)

懸念されていたアマゾン-JPモルガン-バークシャー3社連合によるヘルスケア新会社の事業戦略はまだおぼろげな姿さえ明らかになっておらず、北米医療市場はまっこと複雑怪奇で何人たりとも改革を持ち寄ることは困難であるように思えてくる。医療保険は安泰であり、当社は割高ではない。また何度か言及している通り、2019年末にエクスプレス・スクリプツとの不利契約が失効するというカタリストを持つ。
[保有済み]

3. フェイスブック(FB)

長期的にFBのビジネスがジューシーであり続けることが出来るか予測するのは私の能力を超えているのでポートフォリオには組み込んでいないが、ワッツアップやインスタもカバーする当社の堀は、どれほどのスキャンダルに晒されようと少なくとも1-2年の間は揺るぎないものといって差し支えない。PERが市場平均並みまで落ちていることを考えると、自分がFBやインスタに写真をアップできるような生活を送っていないというのは、当社への投資を躊躇する理由としては不十分というべきだろう。
[未保有]

4. ボーイング(BA)

787のコスト削減が完全に軌道に乗っており、キャッシュフロー生成力は損益計算書で見える姿より強まっている。当社のバリュエーションはキャッシュフローで判断するのが適切だ。決算発表で納入機数がコンセンサスに満たないなどの理由で売られる局面があるかもしれないが、受注残が年間売り上げの7年分に及ぶ中での減収は、単にサプライチェーンの一時的な問題などを反映しているに過ぎず、無視して良い雑音というスタンスを取っている。
[保有済み]

5. ロッキード・マーティン(LMT)
6. ゼネラル・ダイナミクス(GD)

防衛関連株が珍しく停滞している。大きな懸念材料は見当たらないし、おそらく未来永劫出てこない。単純にPER10倍台前半は買いだ。
[LMT保有済み]
[GD未保有]

7. シンクロニー・ファイナンシャル(SYF)
8. キャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF)

大手小売業者のためにクレジットカードを発行している会社だ。カードローンから得られる高利が収益柱である。PERはSYFが5倍台、COFが7倍台。どちらも目を疑うようなバリュエーションで、多分、ローンのデフォルトリスクが強く意識されているのだろう。経営に打撃を与えるようなデフォルトの連鎖が起こる可能性は、このバリュエーションから得られるであろうリターンを考えると限りなく低いように思える。
同じような事業を営んでいるのにSYFのPERが低いのは、最大顧客のウォルマートと仲違いしてCOFに独占契約を移されるからだ。顧客を奪われるSYFと奪うCOFの両方に投資しておけば安心して眠れるだろう。
[SYF保有済み]
[COF未保有]

9. JCU(4975)

唐突に出てくる日本株。めっき薬品といういささか不況耐性が弱そうな事業を営んでいるものの、右肩上がり業績推移と高水準の経営指標は目を見張る。経営の能力の高さをうかがわせ、PERは8倍は賭けるに値するバリュエーションだ。
[保有済み]

10. アマゾン(AMZN)

みんな大好きアマゾン。もはや溢れ出る利益を隠し切れなくなってきつつあり、2019年度は高収益企業としての当社に注目が集まる年になると予想する。アマゾンのバリュエーションをPERで語れる日がすぐそこまで来ている。


 以上、10銘柄。防衛やカード会社で実質的に同じ銘柄を選出しているのは数合わせだろうという批判は甘んじて受けよう。でも、そんな簡単に有望銘柄を10も挙げられるわけないでしょ。

 2018年に悲惨な下落を見せたたばこ株はランクインしない。この話題についてはまた今度。


冒頭画像
『黒い十人の女』 市川崑

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

コメント