2015年9月2日水曜日

粉飾会計辞典

巷を賑わす粉飾会計。
経理屋としては負けていられない。


●架空売上の計上
 粉飾の王道だが、無からデータを捏造するのでエビデンスの準備などに高度な手口が要求される。懇意にしている下請け会社などとの連携が不可欠だ。

●収益の先取り
 会計は保守主義の原則があるので、損の先取りはある程度許されるが収益の先取りは許されない。だから、この手口もやや難易度が高い。「仕入値引き」などという科目を用いて仕入れた瞬間に値引き相当額を営業外収益に計上したり、未履行のサービス売上を契約時点で一括計上するなど。

●見積収益の過大認識

 工事進行基準の売上・費用認識は見積もり利益を用いて計上されることが多い。ある案件の見積粗利率が20%と見込まれる場合、コスト100が発生した期の売上は"100/0.8=125"となり、25の粗利が認識される。しかし実際の粗利が10%でしかなかったら、この進行基準による粗利は過大計上となる。いかに20%の利益率の合理性を会計士に納得させるか、経理マンの腕の見せ所だ。この手口は「収益の先取り」の変化形ともいえる。

●損の先送り
 契約時点で赤字であることが分かっている案件などがあるが、損失引当金を計上しない。在庫が不良化したり、コモディティ価格が下落して棚卸資産の時価評価が取得原価を下回っても低価法を認識しない。ほぼ確実に損害賠償請求を受けるのだが情報を隠しておく。コンサルサービスなどを受けているが、請求書の発行を翌期に遅らせてもらって費用計上しない。仮価格で売上計上した後で本当はボリュームディスカウントによる一括値引きが計上されるのだが、値引き分だけ翌期に回す。このパターンには他にも色々なバリエーションがある。

●損失飛ばし
 エンロンやオリンパスが得意とした手法。主な手口は非連結の関連会社(多くはペーパーカンパニー)をこしらえて含み損資産を取得価額で売り飛ばし、本体からオフ・バランスする。「損の先送り」パターンの変化形ともいえるが、こちらの方が粉飾の意図に関して積極性があり、外部の目から完全に隔絶される点において、より悪質性が高い。

●含み資産の転がし
 これも主に非連結の関連会社を用いる。含み益のある有価証券や土地などを、非連結の関連会社に売却して売却益を認識する。ほとぼりが冷めたころに買い戻しても良い。

●セール&リースバックの利用
 自前の本社ビルをREITやリース会社に売却して巨額の売却益を計上し、その後はテナントとして入居し続ける。堂々とそんなことをして営業利益をかさ上げしている会社があるので大きな声では言えないが、この契約は本質的に金融取引であり、売却益の計上は認められるべきではないと考える。私から言わせれば「収益の先取り」の変化形に該当する。

●費用の資産計上
 社内のSEや開発者の人件費を、ソフトウェアや繰延資産などの固定資産に振替えて償却費化することで費用認識を遅延させる。オーソドックスな手法。

●押し込み販売
 連結グループ内で押し込み販売する限りにおいては未実現利益の消去によってその努力も無駄に終わるが、グループ外の下請け会社などに押し付ければ立派な売上・利益が計上される。かわいそうな下請け会社。キャッシュフローの悪化による金利負担は、粉飾会社に別の形でちゃんと補填してもらいましょう。

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