2015年6月7日日曜日

FRB金融引き締め連想ゲーム

 ギリシャ問題をはじめとして、日々メディアから届けられる不穏なニュースのほとんどを片っ端から無視して投資に勤しむ私ではあるが、FRBの金融引き締めだけは最大限の注意を払って事態を見守っている。
 私はFRBと日銀の金融緩和が世界の資産価格に与える影響を完全に過小評価していた。この反省を生かし、「テーパリングを舐めるべからず」は適度に意識するようにしたい。

 そこで、債券市場が金融引き締めに対し大人の対応をし、"やや"急激な金利上昇が起こることを想定し、そこから投資家へどのような効果が及ぶか、連想ゲームをしてみたい。

【短期的影響】

① 米国債価格の下落
 金利が上がれば債券価格は下落する。これはセットの現象なので連想ではない。

② 金融関連株の下落
 米国債を保有する金融機関に巨額の評価損が発生し、銀行株などが下落する。

③ 高配当株の下落
 論理的妥当性など何一つないにもかかわらず、金利上昇によって債券投資の魅力が増し、高配当株は叩き売られる羽目になる。私のタバコ株もきっと急落するだろう。

ドル高円安の進行
 短期的に為替は金利によって決定される。世界中をうろつく流動性は、金利が上昇したドルに流れ込む。

貴金属価格の下落
 インカムを生まないコモディティは、金利上昇局面で相対的な魅力が薄れ、資金が流出する。

その他あらゆる金融資産価値の下落
 歴史的な金融緩和による過剰流動性が引き締めによって消失する過程で、価格下落から逃れられる資産はほとんどない。特に株式価格は金融株や高配当株でなくとも全般的に値下がりする。なぜなら、「株価=EPS/期待リターン」で算出されるため、期待リターンが高くなるほど株価は下落するが、「期待リターン=国債金利+リスクプレミアム」なので国債金利上昇は期待リターンの上昇要因となる。

【中期的影響】

A. 銀行株の上昇
 金利上昇により預金金利と貸出金利の差である純金利マージンが改善し、銀行の利益が増加する。

B. ドル安円高の進行
 中期的に為替は購買力平価、つまり二国間のインフレ差によって決定される。長期成長率が変わらない中で名目金利が上昇する米国は、実質金利を一定に保つため、金利上昇分のインフレが進行する。インフレは通貨価値の減少を意味するため、ドル安(=円高)が起こる。
(実質金利=名目金利-インフレ率)

C. 貴金属価格の上昇
 米国でのインフレ率上昇により、インフレヘッジとしての貴金属需要が高まり、資金が流入する。



 短期的影響と中期的影響で真逆の事が起こるのがまさにJカーブ効果だ。中期的影響の方が金融引き締めの本質を反映していると私は考える。

 ところで、以上の連想の中で、私は銀行株の値動きである②とAに注目している。 今現在でも十分割安と言える米銀行株を②のタイミングで取得し、Aの発現による値上がりを待つ戦法は、かなり確度の高いリターンをもたらしてくれると思う。特に、伝統的な貸出業務の収益比重が高く、他の銀行に比べて効率的に稼いでいるウェルズ・ファーゴとUSバンコープの値下がりするタイミングを口を開けて待つとしよう。
 市場の混乱は長期投資家にとってチャンス以外の何物でもない。しっかりと基礎理論の裏付けがあれば、動揺の度合いを減らすことができるだろう。

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