米国小型株効果へのアクセス

 小型株が大型株のパフォーマンスを長期的に上回るデータは山ほどある。株式パフォーマンスに小型株効果が働くのは、もはや疑いようがない。
 そして、万年高ROEの米国株リターンが日本株を凌駕するデータとその根拠についても、「日米株式リターン比較」と「ROE投資シミュレーション(前編)」で示した。

 その二つの条件を兼ね備えた米国小型株への投資。これは投資家に悪くないリターンをもたらすはず。

 しかし、P&Gやコカ・コーラなど誰もが知っている有名ブランドかつ超大型株への投資と違い、小型の個別株投資には、事業に対するより詳細な理解と、決算書を読み解く力が必要になる。にもかかわらず、日本人である我々は会計基準の違い、言語の違い、土地勘の違いというハンデを負っており、投資のハードルは非常に高い。

 わからなければ、分散するしかない。分散にはインデックス投資が有効だ。
 そして私はiShares Russell 2000 Index ETF(以下、ラッセル2000ETF) を購入してみることにした。

 ラッセル2000とは、米国市場の時価総額上位1000~3000位までの銘柄2000種からなる指数。上位1~3000位までで構成されるラッセル3000の内、時価総額で8%を占める。アップルのような突出した時価総額の企業がないので、一銘柄当たりの指数寄与率は極めて低い。

 手数料に相当するエクスペンス・レシオは0.2%。最近のETFらしく、十分に安い。
 PERは21倍。これに関しては、やや高い感じが否めない。
 ちなみに、ラッセル2000ETFのデータが取れる2000年からのS&Pとのパフォーマンス比較はこちら↓ やっぱりラッセル2000が勝っている。

 
 他に落とし穴はないか。↓こんな記事がある。

小型株指数「ラッセル2000」が一部株価をゆがめている理由(ウォール・ストリート・ジャーナル)
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424127887323670304578637543073364254


 記事を要約すると、ラッセル2000指数には以下の問題点がある。

① 小型株指数の看板にやや偽りあり問題
 指数構成銘柄の見直しが年に1度しか行われないため、見直し前に大きく株価が上昇してしまい、本来ならばラッセル1000に昇格すべきような、もはやそれほど小型ではない企業までもが指数に含まれている。2013年度の銘柄組み替え直前には、上位50銘柄の構成比率が指数全体の10%を占めるほど大きくなっていた。

② ETFの人気が株価の過大評価を起こしているかもしれない問題
 同ETFは米国で9番目の資産規模を誇る人気のETFで、大型株指数であるラッセル1000ETFよりも大きい。ETFから流入する資金は、明らかに企業規模に見合っておらず、一部の銘柄にオーバーバリューを起こしている可能性がある。①の問題と組み合わさると、弊害はより大きくなる。


 無視できない指摘であるものの、私としては問題点を理解した上で、徐々にこのETFの残高を2年間くらいかけてポートフォリオの5%程度まで増やしていこうと思う。私が将来にわたり米国小型株の誘惑に抵抗し続けることが不可能と思われる上、米国小型株へ効率的にアクセスする方法は、事実上、このETF購入を通してしかありえないと考えるからだ。

コメント

  1. こんばんは! 信用取引に関する記事を読んでみたいのでお時間ある時によろしくお願いします。

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    1. 信用取引については実のところ取引手段として検討したこともなく、具体的な仕組みなどを人様に能書きを垂れるレベルにはないのですが、いつか、そういう実務的なところから離れたアプローチで言及してみようかと思います。特に売りから入れるという選択肢には非常に興味を惹かれます。

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