バリアントとはどういう会社か

 せっかく勉強のために不正会計疑惑で暴落中の危険な株を購入したのだから、当社について学んでみたい。
 バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル(VRX)の成長戦略は明快だ。新薬創出のための研究開発にはほとんど金をかけない。代わりに外から買ってきて、即座に薬価を引き上げて利益率を向上させる。営業人員などもリストラしてコストをカット。製薬会社の常識を覆す戦略で、ファンドマネージャーたちのヒーローとなっていた。
 当社の筆頭株主であるパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのビル・アックマンは当社を「バークシャー・ハサウェイへ成長する初期段階にある」と評し、バークシャーのチャーリー・マンガー副会長は当社を「ひどく不道徳な会社」だと批判した。しかし人の評価に耳を傾ける前に、まずは事実を確認していく必要がある。とりあえず、過去の買収実績からだ。当社は具体的にどういう買収を実施してきたのか。


【バリアント 過去の大型買収実績】
2012年9月
 メディシス(皮膚科学治療薬) 26億ドル
2013年8月
 ボシュロム(コンタクトレンズ) 87億ドル
2015年2月
 サリックス(バイオ医薬) 111億ドル
2015年8月
 スプラウト(女性用バイアグラ) 10億ドル

 その他にも、報告不要の小型案件を含めると年間数十件の買収を繰り返してきた。また、シワ取り剤「ボトックス」で有名なアラガン(18兆円でファイザーに買収されることが決まった)や、動物用医薬のゾエティスへ買収を打診したことがある。買収によって総資産は急増し、自己資本比率は急減している。

 2011年3月末 総資産 131億ドル 自己資本比率 30%
 2015年9月末 総資産 484億ドル 自己資本比率 13%

 保険事業などから得られる流動性をもとに買収するバークシャーと違い、借入依存が高い。最大限好意的に見ても、バークシャーとは似ても似つかない。
 また、当社の成長戦略がどれほど従来型の製薬会社と異なったものであるか、典型的な製薬企業であるファイザーのデータと見比べてみたい。


 なるほど、たしかに普通の製薬会社ではない。でも、こういう企業、私は嫌いじゃないね。

 私の買値は80ドル。当記事執筆時点の株価は87ドル。まだまだどっちに転ぶかわからない。

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