2015年10月25日日曜日

アウトイン型企業にとっての円安

新興国の安い人件費でモノを製造し、日本に輸入するタイプの企業にとって、円安デメリットは一般に想像される以上に厳しい。
円安・新興国通貨高によって実質人件費がアップする。これが足元の会計期間では前年度対比一割二割増という状況となっている。15年度4-9月期の前年同期対比で代表的な新興国通貨がどれだけ円安になっているか確認してみると、タイ・バーツ対比11%円安、インド・ルピー対比11%円安、ベトナム・ドン対比16%円安、中国人民元対比17%円安(インドネシア・ルピアやマレーシア・リンギットに対しては逆に円高方向)。
さらに向かい風は為替だけにとどまらない。それらの企業の大半は当該国の最低賃金で作業員を雇用しているが、新興国の最低賃金(名目ベース)はこれまた毎年一割のペースで上昇している。ベトナムなんかは経済成長率以上のペースで毎年最低賃金が上昇している(もちろん、こんな状態が永久に続くことはないのだが)。
通常であれば名目ベースの最低賃金アップは新興国通貨安による実質賃金ダウンが相殺してくれるところ、15年度会計期間においてはどちらもデメリット側として企業を痛めつけているのだ。つまり、人件費は為替の影響で一割増、最低賃金上昇の影響で一割増、合せて二割増というようなことになっている。

その破壊力は激烈と言うしかない。アウトイン(逆輸入)タイプのビジネスモデルを採用している企業の多くは労働集約型の産業に属する。そのため、人件費は最重要コストであり、それが上述のように二割も増加するわけだ。ニトリとかユニクロみたいに元々ある程度の利幅を持っていて価格転嫁も可能な企業は乗り切れるが、特に創意工夫が凝らされているわけでもないプラスチックのオモチャを100円ショップ向けに製造しているような企業は、ダイソーなどに価格転嫁を申し出ることもできず赤字転落しているところが結構あるだろう。
為替の動きは非常にダイナミックなので、常に教科書通りの理論的な動きを見せるわけではない。にもかかわらず、輸入依存型、輸出依存型の企業にとってそんな移り気な為替は利益の生命線なのだ。
売上とコストが異なる通貨で認識される企業はそれだけ大きな事業リスクを抱えている。価格決定力を有さず、単に新興国の人件費の安さだけでブイブイいわしているような企業には深入りしない方が賢明だろう。

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