2015年7月4日土曜日

[ 銘柄分析 ] テンポスバスターズ

収益の柱は中古厨房機器のリサイクル販売。最近はステーキレストラン「あさくま」と、飲食店コンサルティング事業も伸びてきている。直近のセグメント利益はそれぞれ10億円、6億円、2億円というバランスだ。中古機器のリサイクル事業は既にかなりのシェアを獲得しており、当社は飲食事業とコンサルティング事業を成長ドライバーと認識している。物売りからサービスに比重を移すという戦略はIBMみたいでセンスいいな、とか思ったりする。

しかし、今回はビジネスや業績ではなく、企業風土に注目したい。
この会社、何だか普通じゃなく、紹介せずにはいられない魔力がある。
会社HPを訪れると、その感覚が少しわかる。
中でも白眉は次のポリシーだ。

テンポス精神17ヶ条
http://www.tenpos.co.jp/profile/spirit_17/sougou/

一見、巷を騒がせるブラック企業そのもののようだが、私にはそういう服従の強制や非人間性はあまり感じられない。少し、楽しそうだ。(もちろん、たまったものではないと思っている社員が多いことも想像に難くない)
MBA仕込みの経営学とか、データ解析とか、そういうスマートな類のものではなくて、もっと泥臭く、朝から晩まで売上成長とコストと人材育成を考えて辿りついた言葉たち。「読んだ者に共感してもらいたい」という熱意と願望で綴られた文章。文章は人の顔と同じだと言う。この文章は一般的な意味においての名文からは程遠いが、書き手の顔が迫ってくる。多くの会社の企業理念は、大きな理想を夢中で語っているのだけれど、創業家と思われる語り手のほとんどは自分の哲学の発露に終始し、私たちや従業員の方を見ていない。彼らはある意味、独り言の自慢話をしている。でも、テンポス17ヶ条は過剰なまでに人間臭く、おせっかいなほど社員の方を向いている。私はその内容と熱意に少なからず共感を覚える。

創業者である森下篤史氏はブログを運営して、かつてはテンポスの企業サイトに直リンクが貼ってあった。私は株式ホルダーとして愛読者だった。だからわかるのだが、17ヶ条は一字一句間違いなく森下氏が書いている。氏あるいは17ヶ条の特徴は「ケチ」「徹底」「合理的」「人材育成」を重視した即物的・具体的なもので、株主にとっては大変心強い信条といえるだろう。特に「ケチ」というのは勢いよく成長している企業では忘れがちになってしまうものだから。しかし、そんな画一的な表現で表しきれない異様さが、この17ヶ条にはある。まず、表現が過剰に直接的だ。そして「事例」の多さに目がくらむ。長い。要約が肝のはずの企業ポリシーが随分と散文的な印象となる。でも、だからこそ冗長さがリズムとなって主張に勢いを与え、読者の意識にフルスイングをしてくる。
創業者ブログも相当変だった。社員の実名が次から次へと出てきて、叱咤されたり、称賛されたり、扱き下ろされたりとやりたい放題。企業サイトから直リンクされている事実上の公式サイトなのに… ただ、いつからか投稿内容の主旨が変な方向(朝日新聞がどうとかそういう類の内容)に進んできて、私は読むのをやめてしまった。人の主義主張が読みたいわけではなかったし、業績成長に陰りが見えた前兆と捉えられた。そしてちょうどその頃、株価はPER15倍くらいになってきたので、私は株を手放した。結果的に、それは間違いだったようだ。当社の野性的なエネルギーはいささかも減じておらず、その後も順調に増収増益を繰り返した。久しぶりに公式ブログを覗いてみたら、またあのパワーが復活していた。
太っ腹な株主優待の新設などもあって株価はかなり上がってしまったが、私は再参入の機会を窺っている。うまく説明できないが、投資家として株式を保有し、企業と一緒に成長することの醍醐味を、この銘柄は思い出させてくれる。

何の話をしているんだと思われるだろうか。文章の感想文ではなく、株の話をしろと怒られるかもしれない。しかし、限りある自分の資産を、いくつかある成長企業の中から慎重に選択して投じなければならない時、企業の姿勢という限りなくデータ化しづらい情報が決め手になることだってあっていいはずだ。株式投資は何を投資基準にしたっていい。投資と戯れたい私は常々そう感じている。

そんなわけで、本当はどうでもいいが一応業績も確認しておこう。17ヶ条の教えが効いているのかどうかはもちろん知る由はないものの、大変素晴らしい数値が並んでいる。

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