2017年3月6日月曜日

アマゾン・プルーフ企業を探せ

 なんだかんだ言ってもオムニチャネルへの取り組みなど「変革」に着手するだけの時間的猶予を与えられている日本の百貨店と違い、北米ショッピングモール業界には今、苛烈な死が待ったなしで押し寄せている。昨年、全870店舗のうち100店舗の閉鎖を決めたメーシーズ。長年赤字が続き毎年閉店を実行した結果、店舗数がピーク時の4割程度になっているシアーズ。同じく百貨店のJCペニーや多数のアパレル企業も来客数減少で閉店を余儀なくされている。介錯人はインターネット・ショッピングだ。「全ての小売業者はアマゾンに駆逐される」という表現に思わず頷かざるを得ない展開が、現実に起こっている。アメリカの小売業者に投資するにあたって、アマゾン・プルーフ(耐性)があるか否かは必須要件になる。ただあらかじめ白状しておきたい。この環境下にあっても堅調に業績を伸ばしている小売事業者は確かにあった。あったが、そこから何らかの表面的な規則性を見出すことはついに出来なかった。例えば私が投資するアスレチック・フットウェア専門店のフット・ロッカー。こちらの既存店売上高およびEPSの対前年比較推移からご覧いただこう。


 ネット・ショッピングに苦戦しているようには到底思えない素晴らしい数値だが、フット・ロッカーの店舗の多くは冒頭で死の危機に瀕していると表現したショッピング・モール内にある。では、スニーカーという商品の特性が実店舗への来店を促しているのだろうか。確かにスニーカーは一般的に高価で、購入者のこだわりも強い。オンラインでサイズだけチェックしてボタン一つで購入というわけにはいかないからだろう。私はまずそう考えた。これならばショッピング・モール全般が不調だとしても、シューズカテゴリーだけは別だという例外説明が成り立つ。実際、必ずしも的外れな見解ではないはずだ。だが、それでは同業のフィニッシュ・ラインの業績が冴えないことや、スニーカー専門ではないもののスポーツ専門チェーンのスポーツ・オーソリティが経営破たんしたことを説明できない。フット・ロッカーの好調さには明らかに「スニーカーを売っているから」という以外のファクターが存在している。手がかりを掴むためフット・ロッカーとフィニッシュ・ラインの企業サイトを見比べたり、米国投資家のブログを読んだりしみてみたが、両社業績の差について納得感のある理由は見つからなかった。他のカテゴリーでも私の安直なイメージはことごとく外れる。ウォル・マートやダラー・ゼネラル、1ドルショップのダラー・ツリーらの業績は小売業の中では比較的健闘しているのでディスカウント・チェーンなら大丈夫なのかと思っても、ターゲットはここ最近既存店売上が前年割れをしているし、シアーズ傘下のKマートの業績は百貨店セグメントのシアーズと大差ない悲惨さだったりする。ディスカウント店という大まかすぎるカテゴライズではアマゾン・プルーフの有無を到底説明しきれない。
 そこで私は諦めた。いくつかの企業の対前年既存店売上高推移を集計したグラフを貼り付けることにより、ひっそりとこの記事を終えたいと思う。


 目を引くのがコストコとホーム・デポ。特にホーム・デポは強く、住宅リフォーム材なんかはやっぱり実物を見て買わないといけないということなのか。どうせ買うなら、こういう安心感のある企業を買いたいものだ。しかしホーム・デポの予想PERは21倍ととても高いから、私はPER14倍のフット・ロッカーをおっかなびっくり保有し続けることとしたい。大多数の投資家にとっての最適解は、無理して小売関連銘柄に近づかないことであることはあえて付け加えるまでもない。

2 件のコメント:

  1. アメリカはどうかは知りませんが、設備材料は年度・メーカーによって接続(アタッチメント)がちがうので専門問屋や設備業者ならともかく、一般人は見て買わないと痛い目にあいます。建材も比較的そういうことがあるので、普段使っているものでもない限り店に行って買うか問屋に注文するかのどちらかになりますね。

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    1. 私が日曜大工でもネットでは買わないですからね。投資家もそこらへんは百も承知なので、ホーム・デポはなかなか割安にならないですね。

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