2016年6月10日金曜日

FPGのビジネスモデルを会計面から解き明かす

 個人投資家に人気だけど、ビジネスモデルがちょっとわかりにくくて敬遠されてもいる、そんな銘柄。私も今2単元だけ持ってる。

 当社の主力事業はタックス・リース・アレンジメント。名前だけ聞いてもよくわからん。
 まあ、まずは財務諸表を眺めてみよう。



 一問一答によって解き明かしていくことにする。
 この段階でわからなくても立ち止まらずに進み続けるべし!

Q.1 売上高とは何か。
 リース組成の手数料。投資家からの出資金に対して平均15%の組成手数料を得ている。
 なお、顧客のほとんどは会計事務所や金融機関(地銀など)からの紹介である。

Q.2 売上原価率が低い理由は?
 売上高は物件販売ではなく手数料のため、原価率は低くなる。
 つまり、P/Lは当社を金融サービス業と定義している。

Q.3 商品出資金とは何か。
 特定目的子会社(SPC)に対する立替金。
 実は狭義の意味においてリース事業を運営しているのはFPGではない。
 SPCこそがリース事業を行う主体で、調達資金は30%が投資家、70%が金融機関で構成される。SPCは船舶や航空機などを購入して海運会社や航空会社にリースする。SPCの損益は定率法償却と支払利息負担によって、リース期間中の前半に費用が集中する仕組みとなっている。投資家がこのSPCに出資すると、同じように前半年度に損失が出て、後半年度に利益が出るので、税金を納めるタイミングを遅らせることができる。投資家がSPCを購入するのは主に節税目的だ。
 ところで、SPCが投資家に完売できればSPCとFPGの間には資本関係が全くなくなるので、その時点でFPGはリスクフリーになる。
 ただ、リース物件の30%に相当する投資家資金が集まるのを待っていては、ビジネスがスムーズに進まない。そこでFPGはSPCに投資家出資金相当額を立替払いし、SPCはその資金をもとに航空機などを購入、そしてリースを組成してから投資家を募集する。投資家からお金が集まったらSPCはFPGに立替金を返済する。
 つまり資金繰りという観点からみた時のFPGのリスクは、立替から販売終了時までの間にある。航空機を買ったはいいものの、投資家が集まりませんでした。金額がでかいからおっかない。
 ただご安心を。航空機は航空会社にリースされてしっかりリース料を徴収しているので、仮に投資家が集まらなくても通常のリース事業によるキャッシュインはあるのだ。この場合、本来投資家が享受するはずだった節税メリットをFPGが享受することになる。ただ、資金回収は遅れるけど。

Q.4 前受金とは何か。
 近い将来の売上に計上されるもの。商品出資金の15%に相当する額。
 SPCに立て替えた商品出資金が、投資家が集まることによってFPGへ返済される。しかし、返済額は単にリース物件取得額に相当するものだけではない。FPGはこの段階で手数料約15%込みでお金を受け取る。
 そしてSPCの出資金が投資家に完売されるまで、手数料相当額は"前受金"として留保され、完売されると売上高に振り替えられる。


 いまいちわかりやすく説明できた気がしない。
 そのため、超簡略説明を付け加えることにしたい。

FPGは船舶などを購入し、海運会社などとリース契約を結ぶ。
しかしFPGはリース会社ではなく、目的はこのリース契約自体の投資家への転売だ。転売手数料はFPG出資金に対して約15%。
(FPGの財務諸表に関係するという点では②までで終了。以下は投資家にとっての話)
リース契約はSPCという箱の中に詰め込まれて販売される。箱の中はリース契約のほかに、出資金30%、銀行からの借入金70%で構成される。
SPCの損益はリース物件の定率法償却によりリース期間中の前半に損失、後半に利益が出る仕組みになっている。この効果は投資家にとって、物件金額に70%の借入レバレッジが効いていることでより大きくなる。そして投資家(主に中小企業)は前半年度に発生する損失を自らの事業の利益とぶつけることによって法人課税を減少させる。


 当社にとってのリスクは2つあり、どちらも会計・税務基準にかかわるものだ。

 一つ目はオペレーティング・リースのオンバランス化。日本会計基準ではオンバランスの必要があるリース契約はファイナンス・リースに限定されているが、国際会計基準ではあらゆるリース契約をオンバランスしなければならない。海運会社などが自社で船舶を購入せず、オペレーティング・リースを選択する理由の一つに、会計基準がオフバランスを許容していることによるB/Sのスリム化がある。SPCを利用したリース転売スキームは、転売するリース契約が存在していることが大前提にある。
 FPGはこのリスクに対して自社サイトで下記の回答をしている。
「ただし、賃借人側の最大のメリットは、安いコストでの調達です。
オペレーティング・リース事業の場合、船舶等の取得資金のうち、約30%は、利息負担が少ない投資家からの拠出金によるため、通常の金融機関からの資金調達と比較して、安いコストでリース物件を調達することが可能となります。
仮に、賃借人の財務諸表において、オペレーティング・リース事業がオンバランスしなければならなくなった場合でも、銀行借入で自ら船舶等を購入する場合は、当然オンバランスとなりますので、賃借人は、安いコストの方法を採用すると考えられます。
この点から、IFRS導入後も、賃借人が、オペレーティング・リースを利用する意思があることを、賃借人よりヒアリングで確認しております。」

 これは私もその通りだと思う。オペレーティング・リースのメリットはオフバランス化だけではなく、キャッシュフローの改善、メンテナンスの簡素化など他にもあるからだ。

 本当のリスクは二つ目だ。税制改正で定率法償却が認められなくなること。定率法が廃止されれば損失先出しによる課税繰り延べが出来ず、投資家がSPCを購入するほぼ唯一のメリットがなくなってしまう。本当に致命的なので、オペレーティング・リースに対する回答があった先ほどの自社サイトでも、定率法廃止については一切触れられていない。野暮なことは聞くなってことですかね。


 以上、やっぱりわかりやすくはしきれなかった感がある。苦情はコメント欄まで。

3 件のコメント:

  1. プレノンさん、丁寧に解説して頂いてありがとうございます。プレノンさんのおかげでFPGへの理解がまた一つ深まりました。本当にありがとうございます。

    商品出資金についてお聞きしたいのですが、以下の解釈で正しいしょうか?

    FPGがSPCにお金を入れた時、商品出資金の勘定が増加する。その後、SPCで航空機・船舶を購入し、投資家に売却を行う。投資家に売却が行われた時、SPCに渡していたお金が返ってきて商品出資金の勘定が減少する。(同時に投資家への売却額の15%分が手数料として売上が増える。)

    あと、もう1つお聞きしたいのですが、プレノンさんのように会計に強くなるにはどうしたら良いのでしょうか?投資家としてのレベルの違いを痛感しました・・・。

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    1. トルネコさん、コメントありがとうございます。Twitterでの宣言を有言実行せんとして張り切ってみましたが、当初のイメージほど分かりやすく出来なかったと感じています。

      商品出資金についてはご理解の通りです。瑣末なことを付け加えるとすれば、SPCはFPGからの立替金と銀行借り入れで航空機などを購入し、"航空会社とリース契約を結んだ上で上で"投資家に売却される、というのが正確だと思います。

      会計知識につきましては、私は経理屋なので仕事柄詳しいだけです...

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  2. 非常に分かりやすく面白かったです。ビジネスモデルが分かったことでFPGの可能性とリスクが少しずつ見えてきました。本当にありがとうございます。プレノンさん、凄すぎです!目から鱗でした。

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