2015年8月9日日曜日

業績指標を左遷する

世の中にはたくさんの業績指標があるので、経営者や投資家の頭を悩ませる。いったい僕らは何に注目すればいいんだと。
時代に必要とされなくなった指標は遅かれ早かれ自然消滅していく運命にあるが、断捨離は早めに行う方がいい。ここはひとつ、私の独断と偏見によりいくつかの業績指標に引導を渡そう。


「流動比率」

計算式 : 「流動資産/流動負債」

色々な企業のアニュアルレポートでも当然のように記載されている定番指標だが、こんなものを実務で使っている人間は見たことがない。明日にも潰れそうな会社でない限り、意識する必要なし。


「インタレスト・カバレッジ・レシオ」

計算式 : 「営業利益/支払利息」

銀行の役にしか立たない。支払利息は資本コストの一部を構成するに過ぎない。大事なのは株主資本コストも含めた加重平均資本コスト(WACC)であり、当然、経営者も投資家もWACCを気にすべきだ。それに、金は借りたもの勝ちだ。ギリシアを見れば、よくわかるでしょう。


「経常利益」

計算式 : 「営業利益-営業外損益」

間接金融が日本の資本主義社会を牛耳っていたこともあり、支払利息が控除された後の実力値が見たいという要望は古くから根強かった。そのため、経常利益は日本の会計基準独特の利益概念となっているが、会計基準の国際化の流れもあり、そろそろ引退を考えていい頃だろう。そもそも、営業外損益と特別損益の境界線は非常に曖昧で、固定資産除売却損をどちらの科目にするかは企業によって扱いが異なっていたりすることがある。それより、私が経常利益を左遷したい一番の理由は、支払利息だけが資本コストと錯覚させるような利益概念は、P/Lに表れない株主資本コストを社会がより強く認識していくための障害となると考えるからだ。


「EBITDA」
計算式 : 「当期純利益+支払利息+税金費用+減価償却費」
    または「営業利益+減価償却費」

こいつを左遷すべきかどうかは正直微妙だ。税引前営業キャッシュフローを簡便的に算出したいというコンセプトはよくわかるし、経営者が時系列に並べて推移を確認することを必ずしも無益と断じることはできない面がある。
しかし、償却費控除前の利益を絶対額としてポンと出されて、投資家はそこから何を感じ取れと言うのか。「今期のEBITDA1,000億円ですか。へぇ、凄いね(多分)。で、償却費と設備投資額のバランスは?」 結局こうなる。

2 件のコメント:

  1. 私も以前から流動比率は算出してもあまりに漠然とした情報しか得られないと感じていたので、今回の記事はまさにわが意を得たりでした。

    ところで、EBITDAの日本語訳は「利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益」だったと思うので、提示されている計算式の符号はマイナスではなくプラスになるのではないでしょうか?

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    1. EBITDAの計算式ですが、ご指摘の通りですね。どうも最近、ケアレスミスが多いようです。

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