ショート(空売り)したい業界
信用口座を持っていないため空売りはできないのだが、たまには売り手側から考えてみたい。
ここでベア型ファンドを空売りしたい理由は、私が今後の株価推移に強気だからという理由ではなく、その構造的な欠点に着目してのことだ。重要なのは、ブル・ベアファンド共に「日々の株価の変動」に対して基準価格が変動する点にある。
例えば仮に指数が100円から80円に下落するとしよう。この場合、レバレッジ1倍のベア型ETFは指数-20%の下落に対して+20%のリターンを得る。その後、指数は80円から再び100円に戻るとする。すると指数変動率は+25%となるので、ベア型ETFは-25%の損失を被る。+20%で100円が120円になり、そこから25%下落して90円になる。指数が元の価格に戻ったにもかかわらず、ベア型ETFは-10%の損失が残る。ボックス相場であっても損する設計になっているベア型ETFは純粋に短期間のヘッジ目的以外での購入は絶対に避けるべきだが、逆に言うと、長期保有に適さないというベア型ETFの欠点は、辛抱強く空売りする者にとっての利点となり得るというわけだ。
ボラティリティ・インデックス(VIX)ETFも同様の欠点を抱えている。この指数は結局のところ投資家の心理を表すものなので、長期的にはボックス相場とならざるを得ない。この指数に連動するETFを組成するためにはオプション取引を駆使しなければならないので、長期的にはオプション手数料分だけ基準価格が下落していく運命にある。
投資資金によって企業成長の後ろ盾となることを基本とする投資原理主義的観点からは、空売りは金融工学の産物であり邪道という考え方があるかもしれないが、当然ながら、空売りには市場の流動性を高めたり、バブルを未然に防いだりするという効用があることも忘れるわけにはいかない。
とはいえ、株価に下限はあれども上限なしなので、ショート・ポジションのリスクは理論上、無限大だ。こういう危険なことはヘッジファンドとかに任せておきたいと臆病な私は思う。
○自動車教習所
マイナンバー制度の導入により、身分証明書としての運転免許証の価値は確実に暴落する。ペーパードライバーの大量供給は今後激減していくことだろう。教習所専業で上場している企業はないが、何とかこの業界をショートする方法はないものだろうか。○メガブランドを保有する消費財企業
花王、資生堂、P&G、ユニリーバなどは、大量広告により構築した圧倒的ブランド力と、強力な小売業者とタッグを組んだ陳列棚独占力で儲けまくってきたが、Eコマースがこの勝利の方程式を破壊する可能性がある。ネット通販はロングテールを特徴としており、営業力が無くてセブンイレブンやウォルマートにはとても置いてもらえないような商品を消費者に提供している。特にシャンプーや化粧品などのビューティー関連は有名ではないが品質の高い商品がネットでは豊富に揃っており、昨今の品質重視傾向も相まって、TSUBAKIやパンテーンから顧客が流出していくだろう。(ちなみに私も成分解析サイトを見て、花王のアジエンスからFプロテクトというマイナーなシャンプーに乗り換えた)○製紙業界
あえて詳しく説明するまでもないと思うが、製紙業界は想像通り、相対的に差別化しにくい製品を資本集約型の形態によって生産する事業であり、もちろんこのような事業が儲かるはずがない。さらに紙の本は電子書籍に、広告はインターネットに置き換わりつつある中、製造設備は有り余っており、製紙業界には明るい未来が見えない。しかしそんな将来見通しは既に誰もが知るところなので、それをもって空売りの理由とはならない。日本の製紙業界の救いがたいのは、自らの状況をまったく認識せず、需要減少時代にどう生き残るか考える代わりに前時代的な覇権競争を優先し、株主のことなどまったく頭にないところにある。需要が伸びる当てがないのに数百億円もする洋紙の最新製造設備を大手4社が他社に後れを取りたくない一心でほぼ同時に導入したり、案の定それで供給過剰となって販売価格が下がったり、合併話が浮かび上がっては片方のわがままで立ち消えとなったり、業界最大手が他社にTOBをかけたら業界2番手が妨害のためだけに被買収会社の株式を取得して頓挫させたり、TOBされる側もされる側で「我々は独自にやっていく」などと資本の論理を無視して社長と従業員が株主そっちのけで騒ぎ出したり、利益が出ているのは段ボールだけだったり、それもカルテルのおかげだったが摘発されたり、大王製紙のカジノ事件が起こるほど内部統制が腐敗していたり、再び合併話が浮かび上がってはまた片方のわがままで立ち消えとなったり、とにかくここまで株主を愚弄した業界を他に知らない。一度生まれ変わらない限り、今後も株主価値を破壊し続けるだろう。○ベア型ETF
これは株価指数と反対の動きをする上場投資信託だ。ベア(熊)は弱気を意味し、価格下落局面で強みを発揮する。反対にブル型ETFというのもあり、通常、指数変動に対し2倍以上の正のレバレッジがかけられているので、価格上昇局面で強みを発揮する。ここでベア型ファンドを空売りしたい理由は、私が今後の株価推移に強気だからという理由ではなく、その構造的な欠点に着目してのことだ。重要なのは、ブル・ベアファンド共に「日々の株価の変動」に対して基準価格が変動する点にある。
例えば仮に指数が100円から80円に下落するとしよう。この場合、レバレッジ1倍のベア型ETFは指数-20%の下落に対して+20%のリターンを得る。その後、指数は80円から再び100円に戻るとする。すると指数変動率は+25%となるので、ベア型ETFは-25%の損失を被る。+20%で100円が120円になり、そこから25%下落して90円になる。指数が元の価格に戻ったにもかかわらず、ベア型ETFは-10%の損失が残る。ボックス相場であっても損する設計になっているベア型ETFは純粋に短期間のヘッジ目的以外での購入は絶対に避けるべきだが、逆に言うと、長期保有に適さないというベア型ETFの欠点は、辛抱強く空売りする者にとっての利点となり得るというわけだ。
ボラティリティ・インデックス(VIX)ETFも同様の欠点を抱えている。この指数は結局のところ投資家の心理を表すものなので、長期的にはボックス相場とならざるを得ない。この指数に連動するETFを組成するためにはオプション取引を駆使しなければならないので、長期的にはオプション手数料分だけ基準価格が下落していく運命にある。
投資資金によって企業成長の後ろ盾となることを基本とする投資原理主義的観点からは、空売りは金融工学の産物であり邪道という考え方があるかもしれないが、当然ながら、空売りには市場の流動性を高めたり、バブルを未然に防いだりするという効用があることも忘れるわけにはいかない。
とはいえ、株価に下限はあれども上限なしなので、ショート・ポジションのリスクは理論上、無限大だ。こういう危険なことはヘッジファンドとかに任せておきたいと臆病な私は思う。
初めまして。いつも勉強させていただいております、謎manと申します。
返信削除ベア型ETFは、あまり考えたこと無かったので、目からウ◎コが落ちました!
一つ、よろしければ馬鹿な私に教えていただきたいのですが、
100→120→100の場合は、ETFは20%の損失後約16.7%の利益で約3.3%のトータル損失ということで宜しいのでしょうか。
これからも、勉強させていただきます。
私の記事にも一部誤りがあることに気づきましたが、その場合、20%の下落後に16.7%の上昇があるので、元の価格の93.4%にしかならず、6.6%の損失を被ることになるかと思います。
削除とはいえ、私の理解に誤解が含まれている可能性もありますので、投資の際は入念な下調べをお願いいたします(私は現物買いオンリーのオーソドックスな投資家なので、金融工学には疎いのです)
有難うございます。
返信削除指数100➡120➡100に対して、
ETF100➡80➡93.33という理解ですね。
元の記事は本当は
指数100➡80➡100に対して
ETF100➡120➡90の10%損失という事ですよね?
何度も質問すいません。
そして、馬鹿な私に丁寧な回答、有難うございます。
そうなります。元の記事も訂正させていただきます。
削除