子供投資教室「株価は何で決まる?」
お集まりいただき、どうもありがとう。これから、株式についてお話します。といっても、あまりに広すぎる話題で、すべて説明しようと思うと講義時間内じゃ終わりません。なので、今日は大人も真っ先に興味を惹かれる「株価」についてのお話です。
もしかしたら、君たちのお父さんやお母さんの中には株式投資をやっている人がいるかもしれません。そうだとしたら、ご両親がどういう話をしているか、よく耳を傾けてください。意味が分からなくてもいいんです。もの凄く大切なことをしゃべっているかも知れないし、そうでないかもしれない。どちらにしてもお金について考えることは、将来きっと君の役に立つことになる。
世の中には色々なものに価格がついていますが、それらは実際のところ、何でその価格でなければならないのかよくわかりません。誰か一人が勝手に決めたものであることもあるし、みんなが相談して自然にそう決まったものもある。株の価格である株価は、ほとんどの場合、みんなで決めたものになります。だから、どうして今日その価格でなければならないのか、よくわからない。少し変に聞こえるかもしれませんが、みんなで決めたからこそ、よくわからなくなる。皆さん、クラスで発表会の出し物を決める時、自分は舞台劇が良いと思ったのに、多数決で合唱に決まったら、なぜなのか説明できるでしょうか。多数決だから、というのは理由とは言えません。説明するためには、合唱に投票した人たち一人ひとりに合唱が良いと思った理由を聞いていかなくてはいけませんが、きっとそれぞれ違う理由を言うことでしょう。それに全ての理由を聞き終えても、君が舞台劇が良いと考えた理由より下らないと感じるかもしれない。株価も同じです。いろんな意見が出てきてとりあえず一つの答えが出たけれど、その株価が良いと思った理由も人それぞれだし、君の舞台劇案のように完全に捨てられてしまった少数意見も、見えないけれど、確かにある。捨てられた意見は間違っていたのでしょうか。そうとも言えないことは、君が一番よく知っていますよね。
よくわからないことを深く突き詰めて、自分なりに形を与えていく、これは皆さんが将来、株式投資をやろうとやるまいと、とても重要な姿勢だと思います。
みんなが欲しがったから株価が上がった、そういう答えだって間違いじゃありませんが、そこで考えるのをやめてしまうのは、いかにも寂しい。それじゃあ、たとえみんなが株式投資でお金を儲けられたとしても、意味がないと思うのです。物事を深く知ろうとするところに敬意が生まれます。他人や世の中の出来事に対して敬意がないところに、豊かな人生は生まれません。皆さんの人生はこれから長い。せっかくなら、豊かな人生を送って欲しいと私は思います。お節介かもしれないですけどね。なので、もっと深く考えて、よくわからない株価に形を与えてみましょう。前置きが長くなりましたが、これが今日のテーマです。
いきなり断言してしまいますが、あるべき株価というのは全ての前提条件が整っていれば、簡単に計算できます。株価があやふやで掴みどころがないのは、その前提条件のせいなのです。
君がある株式を買ったとして、その手元にあるのはまさに小さい会社そのものです。会社がお金を稼ぐ。そのすべてが君の手の中の株式に見合った大きさで君のものになる。そうイメージしてください。会社は人間と違って永遠に生き続けることができるので、君の手元にも永遠にお金が運ばれてくることになる。素晴らしいですね。会社が未来に生み出す利益は無限大なのです。じゃあ、株価なんてどれだけ高くてもいいじゃないかと思うかもしれません。ところが、会社の寿命は永遠だけど、君の寿命は医学が発達した現代でもせいぜい一世紀分しかない。健康に動ける期間はきっともっと短いでしょう。死ぬことを考えるのは怖いかもしれないけど、君は確実に将来のある時点で死んでしまう。その寿命が尽きる前にもらうお金と、今すぐもらえるお金の価値は同じでしょうか。そう、もちろん違う。今すぐお金を貰えれば、ゲームを買って長く楽しむこともできるし、ちょっとお金を使うのを我慢して、別の株を買ったらさらにお金を増やせるかもしれない。とにかく、今すぐもらえるお金には色々な選択肢があるのに、ずっと先の将来に貰えるお金には選択肢が少ない。「時は金なり」って株価にも当てはまるんですね。「Time is money」って、英語でも同じように言うので、時間とお金が切っても切れない関係にあるのは、万国共通なのかもしれません。
少し脱線しました。株価の前提条件の話に戻りましょう。ここまで話を聞いてきて、株価をあやふやなものにしている正体が分かった人はいますか? 誰も答える人はいないかな。もしかしたら、わかっているけど恥ずかしくて黙っているだけなのかもしれないですね。答えを言いましょうか。株価があやふやなのは、二つの理由によります。
一つは、会社が将来稼ぎ出すお金をどう予想するか。株価って、未来の反映なんですね。まだ起きていないことが未来なので、未来をどう予想するかは人によって違います。同じ人が予想する未来も、その日の気分によって違ってしまう。だから株価が動いてしまうのです。
もう一つは、時間にいくらの値段をつけるか。時間の価値、これが人によってだいぶ違う。さっきもお話ししたように、株価と時間はとても強く関係しあっているので、みんなが時間にどういう値段をつけるかが、株価に影響します。
どうです、何となく、わかりましたか?
でも、いま言ったことも実際のところ、本当かどうかあやしいものです。私はみなさんより長く生きているので、何を考えるにしても「常識」から自由でいられません。株価とはこういうものだという世間の常識をたっぷり浴びてきた私の話は、むしろ本当の株価とはかけ離れた場所にいるかもしれない。だから、みなさんが私の話を聞いて株価に興味を持ったら、色々と考え続けてください。そして、別の答えが出てきたら、どうか私にその答えを聞かせてください。どんな答えであっても、私は楽しく皆さんの話を聞くでしょう。
最後に一つ。価格が動くということは、危ないことではない。その会社に危険なことが起こっていれば、株価が下がって教えてくれるし、価格が動くからこそ君の株式を買ってくれる人が必ず現れる。価格が動かず、買ってくれる人も現れないまま、知らないうちに危険なことが進んでいることの方がよっぽど怖い。
だからどうか、株価の変動を温かく受け止めてください。みなさんのそういうおおらかな気持ちが、株式投資をもっと楽しい体験に育てていくと私は思います。ご清聴、ありがとう。これにて今日の講義は終了です。
もしかしたら、君たちのお父さんやお母さんの中には株式投資をやっている人がいるかもしれません。そうだとしたら、ご両親がどういう話をしているか、よく耳を傾けてください。意味が分からなくてもいいんです。もの凄く大切なことをしゃべっているかも知れないし、そうでないかもしれない。どちらにしてもお金について考えることは、将来きっと君の役に立つことになる。
世の中には色々なものに価格がついていますが、それらは実際のところ、何でその価格でなければならないのかよくわかりません。誰か一人が勝手に決めたものであることもあるし、みんなが相談して自然にそう決まったものもある。株の価格である株価は、ほとんどの場合、みんなで決めたものになります。だから、どうして今日その価格でなければならないのか、よくわからない。少し変に聞こえるかもしれませんが、みんなで決めたからこそ、よくわからなくなる。皆さん、クラスで発表会の出し物を決める時、自分は舞台劇が良いと思ったのに、多数決で合唱に決まったら、なぜなのか説明できるでしょうか。多数決だから、というのは理由とは言えません。説明するためには、合唱に投票した人たち一人ひとりに合唱が良いと思った理由を聞いていかなくてはいけませんが、きっとそれぞれ違う理由を言うことでしょう。それに全ての理由を聞き終えても、君が舞台劇が良いと考えた理由より下らないと感じるかもしれない。株価も同じです。いろんな意見が出てきてとりあえず一つの答えが出たけれど、その株価が良いと思った理由も人それぞれだし、君の舞台劇案のように完全に捨てられてしまった少数意見も、見えないけれど、確かにある。捨てられた意見は間違っていたのでしょうか。そうとも言えないことは、君が一番よく知っていますよね。
よくわからないことを深く突き詰めて、自分なりに形を与えていく、これは皆さんが将来、株式投資をやろうとやるまいと、とても重要な姿勢だと思います。
みんなが欲しがったから株価が上がった、そういう答えだって間違いじゃありませんが、そこで考えるのをやめてしまうのは、いかにも寂しい。それじゃあ、たとえみんなが株式投資でお金を儲けられたとしても、意味がないと思うのです。物事を深く知ろうとするところに敬意が生まれます。他人や世の中の出来事に対して敬意がないところに、豊かな人生は生まれません。皆さんの人生はこれから長い。せっかくなら、豊かな人生を送って欲しいと私は思います。お節介かもしれないですけどね。なので、もっと深く考えて、よくわからない株価に形を与えてみましょう。前置きが長くなりましたが、これが今日のテーマです。
いきなり断言してしまいますが、あるべき株価というのは全ての前提条件が整っていれば、簡単に計算できます。株価があやふやで掴みどころがないのは、その前提条件のせいなのです。
君がある株式を買ったとして、その手元にあるのはまさに小さい会社そのものです。会社がお金を稼ぐ。そのすべてが君の手の中の株式に見合った大きさで君のものになる。そうイメージしてください。会社は人間と違って永遠に生き続けることができるので、君の手元にも永遠にお金が運ばれてくることになる。素晴らしいですね。会社が未来に生み出す利益は無限大なのです。じゃあ、株価なんてどれだけ高くてもいいじゃないかと思うかもしれません。ところが、会社の寿命は永遠だけど、君の寿命は医学が発達した現代でもせいぜい一世紀分しかない。健康に動ける期間はきっともっと短いでしょう。死ぬことを考えるのは怖いかもしれないけど、君は確実に将来のある時点で死んでしまう。その寿命が尽きる前にもらうお金と、今すぐもらえるお金の価値は同じでしょうか。そう、もちろん違う。今すぐお金を貰えれば、ゲームを買って長く楽しむこともできるし、ちょっとお金を使うのを我慢して、別の株を買ったらさらにお金を増やせるかもしれない。とにかく、今すぐもらえるお金には色々な選択肢があるのに、ずっと先の将来に貰えるお金には選択肢が少ない。「時は金なり」って株価にも当てはまるんですね。「Time is money」って、英語でも同じように言うので、時間とお金が切っても切れない関係にあるのは、万国共通なのかもしれません。
少し脱線しました。株価の前提条件の話に戻りましょう。ここまで話を聞いてきて、株価をあやふやなものにしている正体が分かった人はいますか? 誰も答える人はいないかな。もしかしたら、わかっているけど恥ずかしくて黙っているだけなのかもしれないですね。答えを言いましょうか。株価があやふやなのは、二つの理由によります。
一つは、会社が将来稼ぎ出すお金をどう予想するか。株価って、未来の反映なんですね。まだ起きていないことが未来なので、未来をどう予想するかは人によって違います。同じ人が予想する未来も、その日の気分によって違ってしまう。だから株価が動いてしまうのです。
もう一つは、時間にいくらの値段をつけるか。時間の価値、これが人によってだいぶ違う。さっきもお話ししたように、株価と時間はとても強く関係しあっているので、みんなが時間にどういう値段をつけるかが、株価に影響します。
どうです、何となく、わかりましたか?
でも、いま言ったことも実際のところ、本当かどうかあやしいものです。私はみなさんより長く生きているので、何を考えるにしても「常識」から自由でいられません。株価とはこういうものだという世間の常識をたっぷり浴びてきた私の話は、むしろ本当の株価とはかけ離れた場所にいるかもしれない。だから、みなさんが私の話を聞いて株価に興味を持ったら、色々と考え続けてください。そして、別の答えが出てきたら、どうか私にその答えを聞かせてください。どんな答えであっても、私は楽しく皆さんの話を聞くでしょう。
最後に一つ。価格が動くということは、危ないことではない。その会社に危険なことが起こっていれば、株価が下がって教えてくれるし、価格が動くからこそ君の株式を買ってくれる人が必ず現れる。価格が動かず、買ってくれる人も現れないまま、知らないうちに危険なことが進んでいることの方がよっぽど怖い。
だからどうか、株価の変動を温かく受け止めてください。みなさんのそういうおおらかな気持ちが、株式投資をもっと楽しい体験に育てていくと私は思います。ご清聴、ありがとう。これにて今日の講義は終了です。
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