何と不憫な、暴落を経験できぬとは
暴力的な下げ相場は、しばらく来ないだろう。人類が永久にバブルを回避するほど思慮深くなったとは全く思わないが、実体経済やそれを支えるクレジット、株価指標などをぼんやり調べたり眺めたりしていても、数十%の株価暴落を誘発する事象やセンチメントの悪化が今後数年内にやってくると信じることができない。銀行のバランスシートは健全化する一方だし、怪しげな金融商品が大規模に跋扈しているという噂は聞かない。足元の経済成長は未だかつてないほど設備投資に頼っておらず、景気悪化の萌芽も見えない。テロリズムは世界を変えないし、真偽不明で雑多な情報はノイズとなって投資家の情報感度をむしろ低下させている。不動産価格が心配だという人がいるかもしれないが、せいぜい"ブーム"の範疇であり、価格下落は経済を破壊する力を持ってはいない。
私の妄言が正しいとすれば、あなたは悲しむべきだ。私も同情してあげよう。特に数年にわたる強気相場で調子に乗っている若者に対して。暴落を経験できないなんて、本当に可哀想に。
こんなことを言うのも、私の恥の経験からだ。金融危機前の投資家としての私は、客観的に見てまさに恥そのものだった。自信過剰で全能感に満ち、努力しないのにもかかわらず自分の株式市場での振る舞いが全て良い結果に落ち着くと本気で信じていた。なぜなら私は、少なくとも私の基準で本当に何でも出来ていたのだ(鼻持ちならない若造!)
そんな増長した若造が2008年の金融危機で鼻っ柱を折られた、そういう話だろうと。いいや、実のところ全く折られていない。確かに当時、550万円程度で運用していた資産が250万円程度まで減少したが、私の自己肯定感はたかだか数百万円を失ったという程度ではビクともしないものだった。恥の多い生涯を送ってきました、などとめそめそしている太宰なんぞと一緒にされては困る。凄まじい勢いで減っていく株式評価額は、しかし私を冷静にさせた。
"おそらく何をしていてもこの結果は避けられなかったろう、不可抗力だ、だが俺はこの後株価や経済が回復するのか沈み続けるのか現時点において想像することさえできない、俺は何も知らない、金などどうでもいいがこの状態は非常に屈辱的だ、よくよく考えてみれば俺は自分の能力を過信する一方でひどく過小評価もしていた、株式市場は情報収集と分析力に長けたプロたちが隅々まで網の目を張り巡らせているので、どの教科書にも書いてあるような基礎知識を個人投資家が学んでも何の足しにもなりはしないと決めつけていた、俺がくそツマラナイ勉強をすっ飛ばして好きなように振る舞ったのはそれが理由だ、しかし俺の情報処理能力を形作っているものは一体なんだ、それこそひた向きな基礎勉強ではなかったか、なぜ学校や仕事では勉強しなければ上手くいかないと知っているのに、株式投資では勉強が必要ないなどと驕ったのか、俺は明確な誤りを犯し続けていた、株式投資に必要な知識は今までやってきた勉強の延長線上にはない、この金融危機をうまく乗り切ることはもう諦める、諦めてメディアの言うことを片っ端から読み込み少しでも状況を咀嚼することに専念しよう、海外メディアが良いと直感が言っている、同時に基礎勉強を明日から開始する、幸い俺は経理だ、まだ原価計算しかしたことがないがどうやら俺は経理に向いている、数字を使って分析することに向いている、会計知識は仕事をしているうちに自然と身についていくだろう、すると足りないのは金融、経済、バリュエーション理論だ、正直なところ経済学なんて馬鹿にしていたが、もはや馬鹿にする資格がないほど俺に経済の知識がないことが明らかとなった、事は学部1年生のつもりで取り組む必要がある、すなわち大学の経済学テキストを購入する、今さらながら俺はなぜ法学部など選んだのか、何の面白みもない学問だった、経済学が法学よりは面白いことを今から願うとしよう"
そして私は本当に勉強した。基礎勉強が一通り終わった後は、自分で考え続けた。それなりに誇れる結果がこのブログにも表れていると自負している。
そんなこんなで私はいまだに自信家のままだが、それでも確かに暴落は私を変えたのだ。若い投資家の方々を見ていると、当時の私など及びもつかない謙虚さと勤勉さを既に備えていて本当に眩しい。そして暴落という外的変化でその成長が加速するのを見てみたい。だから、冒頭の暴落が来ないという予想が、本当に私の妄言で終わってくれることを心底願っている。
私の妄言が正しいとすれば、あなたは悲しむべきだ。私も同情してあげよう。特に数年にわたる強気相場で調子に乗っている若者に対して。暴落を経験できないなんて、本当に可哀想に。
こんなことを言うのも、私の恥の経験からだ。金融危機前の投資家としての私は、客観的に見てまさに恥そのものだった。自信過剰で全能感に満ち、努力しないのにもかかわらず自分の株式市場での振る舞いが全て良い結果に落ち着くと本気で信じていた。なぜなら私は、少なくとも私の基準で本当に何でも出来ていたのだ(鼻持ちならない若造!)
そんな増長した若造が2008年の金融危機で鼻っ柱を折られた、そういう話だろうと。いいや、実のところ全く折られていない。確かに当時、550万円程度で運用していた資産が250万円程度まで減少したが、私の自己肯定感はたかだか数百万円を失ったという程度ではビクともしないものだった。恥の多い生涯を送ってきました、などとめそめそしている太宰なんぞと一緒にされては困る。凄まじい勢いで減っていく株式評価額は、しかし私を冷静にさせた。
"おそらく何をしていてもこの結果は避けられなかったろう、不可抗力だ、だが俺はこの後株価や経済が回復するのか沈み続けるのか現時点において想像することさえできない、俺は何も知らない、金などどうでもいいがこの状態は非常に屈辱的だ、よくよく考えてみれば俺は自分の能力を過信する一方でひどく過小評価もしていた、株式市場は情報収集と分析力に長けたプロたちが隅々まで網の目を張り巡らせているので、どの教科書にも書いてあるような基礎知識を個人投資家が学んでも何の足しにもなりはしないと決めつけていた、俺がくそツマラナイ勉強をすっ飛ばして好きなように振る舞ったのはそれが理由だ、しかし俺の情報処理能力を形作っているものは一体なんだ、それこそひた向きな基礎勉強ではなかったか、なぜ学校や仕事では勉強しなければ上手くいかないと知っているのに、株式投資では勉強が必要ないなどと驕ったのか、俺は明確な誤りを犯し続けていた、株式投資に必要な知識は今までやってきた勉強の延長線上にはない、この金融危機をうまく乗り切ることはもう諦める、諦めてメディアの言うことを片っ端から読み込み少しでも状況を咀嚼することに専念しよう、海外メディアが良いと直感が言っている、同時に基礎勉強を明日から開始する、幸い俺は経理だ、まだ原価計算しかしたことがないがどうやら俺は経理に向いている、数字を使って分析することに向いている、会計知識は仕事をしているうちに自然と身についていくだろう、すると足りないのは金融、経済、バリュエーション理論だ、正直なところ経済学なんて馬鹿にしていたが、もはや馬鹿にする資格がないほど俺に経済の知識がないことが明らかとなった、事は学部1年生のつもりで取り組む必要がある、すなわち大学の経済学テキストを購入する、今さらながら俺はなぜ法学部など選んだのか、何の面白みもない学問だった、経済学が法学よりは面白いことを今から願うとしよう"
そして私は本当に勉強した。基礎勉強が一通り終わった後は、自分で考え続けた。それなりに誇れる結果がこのブログにも表れていると自負している。
そんなこんなで私はいまだに自信家のままだが、それでも確かに暴落は私を変えたのだ。若い投資家の方々を見ていると、当時の私など及びもつかない謙虚さと勤勉さを既に備えていて本当に眩しい。そして暴落という外的変化でその成長が加速するのを見てみたい。だから、冒頭の暴落が来ないという予想が、本当に私の妄言で終わってくれることを心底願っている。
経済学の本で読んで良かった本は何でしょうか?
返信削除学術的なのは適当に大学のテキストっぽいのを選んで借りただけで特に感銘も受けなかったし本のタイトルも著者も記憶に残っていないです。むしろ私がオススメ本を教えて欲しいです。
削除初歩的な知識は通信講座でとった証券アナリストの経済学パートが良かったですね。
学術的じゃないやつはいくつかのベストセラーを読みました。記憶に残っているのは「まっとうな経済学(The Undercover Economist)」です。