2016年9月25日日曜日

人工イールドカーブに関する覚書

 みなさん、どうでもいいですよね。私もどうでもいいです。
 2016年9月末に日銀が10年物国債利回りを0%に誘導する新方針を打ち出した。金利が底に張り付いている状態で量的緩和だとか利下げだとか闇雲に実施したところで実体経済には何の影響もないことは明白なのにもかかわらず、日銀はまだ諦めていないらしい。ご苦労様としかかける言葉がない。
 どうせ意味がないのなら、せめて目指す目標と実施する手段を一致させてメッセージ性を打ち出すという広告業界的な手法に徹すればいいのに、デフレ脱却と言っている横で利下げをおこなったりと意味不明のことをやっているから、常人には何がしたいのか理解しがたい金融政策の見本市のようになっていた。

 話が逸れた。今回の長期金利操作について所感を記しておきたいと思ったのだ。マクロ的な観点からは前述の通り「実体経済に何の影響もない」という一言に尽きる。二言目を付け加えるなら「相変わらず何がしたいのか伝わってこない」
 というわけで、所感だ。


・10年物までのイールドカーブは確かに立つが、それが金融機関の収益に貢献することはない。
 確かに銀行の主要業務は短期で借りて長期で貸すことだから、イールドカーブの角度は利ザヤを意味し、飯のタネとなる。さてさて、今回の長期金利操作でどうなるでしょうか。
「短期で借りて」 … 預金金利はすでにゼロ%だった。政策前後で何も変わらない。
「長期で貸す」 … 何を根拠に貸出金利を上げられるのか。下げても上げても借り手なんていない。
 結局、何も変わらない現実が明日以降待ち受けているに過ぎない。


 ・国債からボラティリティが消失し、運用担当者が泣く。
 長期金利が0%に固定化されるということは、国債の価格が変動しなくなることを意味する。僕ら個人投資家にとってみれば日本国債投資なんか眼中にないから構わないが、機関投資家はどう思うだろう。一般的に株式と逆相関の動きを見せるがゆえにアセットアロケーションの手段として国債の果たす役割は大きかった。これがもはや値動きゼロになる。金利もゼロ。保有意欲はデフレ進行で国債の実質価値が高まることだけしかない。えーと、確か日銀はインフレにしたいんでしたよね。


・計画経済みたいでかっこいいね。
 本来、長期金利は市場が決めるものなんだけど、そんなの意に介さず俺ルールの適用でしょ。さすが日本って感じで、そういう視点からはいい線行ってる。


 要約すると、金融機関は金融政策に振り回されて可哀想といったところ。名目金利を上げたり下げたりしても実質利回りは影響を受けないのだが、金利がゼロに張り付いているがゆえに金融機関には名目の変化に対応するだけの選択肢が奪われており、名目と実質の歪みを一人で受け止めざるを得ない。

 銀行株は買いか売りか? 知りませーん。

4 件のコメント:

  1. マネーストックが実質経済成長にあまり影響しない投資に向かっている感じがします。
    不動産然りです。
    この業界は絶好調ですから賃金上昇などの影響はあるでしょう。
    冷え込んだ消費を温めるため、政府の財政政策(投資減税を含む)をしつつ、日銀は今の金融政策を維持すれば
    いずれ労働人口の減少も相まって供給不足となりデフレは脱却できるでしょうね。
    早いか遅いかの違いは重要ですが…。

    なので、今の金融政策を維持するという強い意志が日銀総裁にある以上、あとは政府の匙加減一つです。
    政府がやる気を見せないでいると金融政策の転換になり、またデフレ脱却が遠のきます。

    やれやれです。

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    1. さて、私は米国金融危機を経ているとはいえ、当時は何も知らないねんねだったので、ほとんど経験値ゼロ状態。したがって、今の日本が不動産バブルと呼べるかどうかにわかに判断が付きかねる状態です。
      J-REITの利回りを見ても、決して買おうとは思わないもののかろうじて収益利回りで説明がつく範囲内の価格に思えるので、破滅的な暴落はないような気がしますが、ブーム終息が起こると数多の不動産株は一体どうなるのか要注目ですね。
      もちろんワールドHDも。

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  2. 10年物国債利回りを0%という-0.2%だったということですから、日銀の買う量を減らしてますよね。市場に出回っている国債が減っているので、0%に誘導することは買う量を控えて、国債を購入できる時間を引き延ばして延命している感じです。買う量が減るので実質的なテーパリングでしょうか?

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    1. 日銀は引き締めの意図なんて一切ないのでしょうが、形式だけ見ると"利上げ"ででからね...
      量的緩和からの段階的撤退なので買う量も当然減ると思いますが、それは利上げ誘導のための手段としてではなく、市場が長期金利が0%になるよう勝手に自己調整してくれることで、結果として日銀の売買高が減少すると睨んでいます。

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