投資家準備期間中の新入社員に捧ぐ

新入社員の皆様、おめでとうございます。
若いのにこんなブログを読まれているくらいですから、きっとあなたはお金に興味があって、もしかしたら"意識高い"新卒なのかもしれません。僭越ながら、会社員投資家の先輩としてささやかなアドバイスを送らせていただこうと思います。「投資とお金」に限定した話ですので、暑苦しがらずに聞いてください。並びは優先度の高い順です。


① 心身ともに健康で、楽しく仕事に没頭すべし

とりあえず投資に対する情熱は抑えて、新しい環境に慣れましょうか。
給与という定期収入は個人投資家にとってかけがえのないものです。あなたが今後稼ぎ出すキャッシュフローは数億円に及ぶでしょう。これを途絶させてはなりません。というわけで、現時点でアーリーリタイアをオプションに入れない方がいい。仕事を続けるために心身の健康を維持し、仕事への興味を持ち続け、職場での居場所を確保することに努めましょう。これらは言うまでもなく労働を継続し続ける目的の役に立ちます。
規則正しい生活を心掛けましょう。与えられた仕事の良いところを探しましょう。無駄な仕事など存在しません。出世を目指して会社での生き残りをゲームのように仕立てあげるのも一興です。休日の草野球や飲み会へのお誘いなどへ気持ちよく参加して付き合いの良い後輩を演じましょう。仕事が楽しくなるような環境を自分で作り、自己洗脳まで行うことが定期給与を苦痛なく受け取り続ける最善の方法です。職場での生き残り方については下記ブログを参照いただければより気持ちが引き締まるはずです。

残念な新卒のための生存手引書(実践編応用3 お目こぼししてもらう、敵を作らない)

要約すると、「部族の掟に従え」ということが書いてあります。大人は掟を無視する生意気な若者が嫌いなのです。


② 支出をコントロールすべし

初任給は税金や保険料が引かれれば驚くほど少ないはず。なけなしの手元残高から投資資金を捻出するため、支出抑制に努めましょう。会社絡みの交際費は削りすぎるべきではないというのは前段で述べた通りです。最初に乗り越えるべき関門は保険の勧誘です。構内にまで出入りしてくる保険外交員の話はすべて聞き流してください。保険は分の悪い賭け事ですし、あなたが今すぐ死んでも金銭面で困る人はいません(私が新卒で入社した会社では、入社式の日には同じグループの保険会社の外交員が契約を迫ってきたし、工場に配属された後も現地の外交員にスナックへ呼び出されて接待を受けたものです。男女問わず枕営業って本当にあるかもしれないなあと思いました)。学割期間が終了するキャリア携帯を解約して格安SIMへ乗り換えましょう。僻地でない限り車を買うのはよしましょう(車なんてなくても異性にモテる方法はたくさんありますって)。趣味にお金をかけすぎていませんか(海外旅行があなたの見識を広げているというのは単なる幻想です。収集癖も年とともに落ち着くので今止めても問題ないでしょう)。寮が利用できるなら積極的に入居しましょう。住居費が浮くだけでなく、①の戦略にもきっと合致します(恋人は連れ込めないけど、その都度ホテルを利用する方が総合的にはお得です)。初年度から年間100万円以上のペースでお金を貯めることを目指しましょう。なに、案外簡単にできますよ。


③ 個人投資家ブログから距離を置くべし

ブログは例えその内容が示唆に富んでいるとしても、個人的な投資経験に基づく意見や主張は多くの場合、投資初心者にとって害となります。生まれたばかりの雛は最初に目にしたものを親と思い込んでしまいます。それが本当に親鳥ならいいのですが、鳥に似たオモチャだったりしたら投資家として取り返しのつかないスタートを切ることになります。ブログを読むのはやめましょう。ただし当ブログは例外とします。


④ どんな銘柄でもいいから今すぐ株式を買うべし

習うより慣れよ。知っている企業を適当に買ってください。どうせ大した金額じゃないので、損したって知れています。現時点では買った企業の業績など気にする必要はありません。ただ単に、株価の動きに慣れてください。最初は株価が毎日気になって仕方がないでしょう。しばらくすると、株価というものは特に理由もなく上下するものだということがわかってくる。これが実践の第一歩です。どんな時でも精神状態を平静に保つよう意識することは投資においてとりわけ重要で、理論武装もこのためだといっても過言ではありません。ですから、投資初心者が最初に買う銘柄として適しているのは、安定成長株ではなく、不祥事銘柄や景気敏感株です。


⑤ 基礎知識を習得すべし

ここまで来てようやく勉強に取り掛かります。
会計を勉強してください。減価償却費とは何か。バランスシートの左右はそれぞれ何を意味するか。キャッシュフロー計算書はどうやって作られているか。『財務3表一体理解法』という参考書をおすすめします。実を言うと私は読んでないのですが、タイトルからして有用な書物であることが明らかです。
バリュエーション理論を学んでください。特にDCF法には資本コスト、割引率(ついでに複利効果)、簡易キャッシュフロー計算など、投資における必須知識のエッセンスが詰まっています。
重要なのは基礎です。どの教科書にも書いてあるような基礎中の基礎をじっくり勉強するだけで、その後のあらゆる勉強の理解度が飛躍的に高まること請け合いです。



アドバイスは以上です。健闘を祈ります。
ま、私はここに書いたことを一切実践していなかったけど。

コメント

  1. はじめまして!最初は誰かのブログやバフェットの本見たりして入って、考え方とか真似事をしてみる訳ですが結局大事なのは基礎を作る事と気付くんですよね。私は長い時間がかかりましたがここ見た読者様はラッキーですね 笑

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    1. ありがとうございます。ただ、このブログの読者に本物の新入社員が何人いるのかというと、良くて二人程度なんじゃないかという気がします。なんでその二人は若いのにこんなブログを読んでるんでしょうね。というか、二人いるのかさえ疑わしいわけですが。

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