定点観測 -ブラックロック(BLK) 2017年Q4-

 当社の概要説明は下記参照。


 一言で言うと、ブラックロックの直近決算は予想していた通り、とてもよかった。
 定点観測しているのは、当社の中核ブランドであるiシェアーズへのネットフローとAUM(運用資産残高)だ。

iシェアーズ ネットフロー推移


iシェアーズ AUM推移


 市場全体が好調のため、AUM残高が増加することは決算を待つまでもなくわかりきっていた。ただ、市場の価格変動を除外したネットインフロー自体が2016年Q3あたりからワンランク上のボリュームとなっており、その流れが完全に定着してきているように思える。
 ETFへの資金流入が加速しているということが叫ばれて久しいが、ここ最近の一年間は過去の勢いとやらが生ぬるく見えるほどの勢いを見せている。

 そんなわけで、ブラックロック全体に占めるiシェアーズの比率は前回分析時からも一貫して上昇し続けた。2017年のAUM増加額の半分は勢いを増すネットインフローによるもので、残り半分は運用資産評価額の上昇による。
 ちなみにiシェアーズのAUMは全体の28%だが、稼ぎ出すフィーは39%に達する。つまり存在感を増しているiシェアーズは、機関投資家向け投資信託などより儲かるのだ。このブランドに注目せざるを得ない理由は、成長率だけではない。

 今までの傾向では、AUMが増加する一方でETF経費率を引き下げてきたため、売上高の増加率はAUM増加率を下回っていた。ところが、2017年Q4では両者の増加率がほぼ一致している。

 バンガードなどとの手数料引き下げ競争に一服感が出たのか。それともトレンドではなく、たまたまなのか。これは今後の定点観測項目としたい。

 インデックス投資への追い風が止むことは一切心配していない。当社への投資にとって唯一の心配は、市場が変調を来すことだ。主に株式の時価下落によりAUMが減少することは避けられないだろうが、その時、ネットフローはどうなるのか。株式からの資金流出を、債券ETFやコモディティが受け止めきれるのかなど、大変興味がある。2016年Q1に起こった調整程度は、余裕のインフローで乗り切ったので、次の試練は本物の景気後退時になる。そしてその兆候は全く見られない。

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