中国出張記

   現在、中国に短期滞在中だ。上海、南京、その周辺地域をあちこち回っている。
   あらかじめ知っていたことではあるが、ここではグーグルサービス全般が使用出来ない。検索はもちろん、マップもGmailもYoutubeもダメ。そしてフェイスブックもツイッターもLINEもNetflixもDropboxも無理。もちろん不便だ。正確に言うと、時間を潰すのに苦労する。私も随分テクノロジーに時間を支配される存在になってしまったものだ。以前中国に来たのはもう7年も前で、私はまだスマホを持っていなかった。ネットへのアクセス制限があっても、不便など感じなかった。
   そんな中、bloggerはグーグルのサービスなのにアクセスを許されているらしいことを発見し、待ち時間を利用してスマホの小さな画面で生存報告を兼ねてこうしてブログ記事を書いている。

   中国では他の国で使えるサービスが利用できないからといって、ここに住む人たちが生活するにあたって不便を感じているわけではない。なんといっても、代替サービスはあらかた揃っている。多分、似たようなものがないのはFBくらいだろう。
   驚いたのは百度が提供するマップサービスの質の高さだ。いくつか利用した社用車サービス会社(GMのビュイックが圧倒的なシェアを誇る)の運転手たちは皆スマホのマップアプリのナビ機能を使っていて、こいつは本当にきめ細かい案内を出してくれる。上海中心街の複雑な道路で1km先の右折のためにどの車線を走れば良いのか画面で提示してくれるし、至る所に設置されているスピード違反検知カメラが数百m先にあることを音声で知らせてくれる。なんだよ、マップはグーグルの専売特許じゃなかったのか!

   クロスボーダーな繋がりがサービスの魅力になるSNSや決済まで自国のサービスを行き渡らせることでガラパゴス化の道を歩む中国は、確かに情報統制を継続できるばかりでなく外資テック企業への利益流出を食い止めている。その代償として私のような外国人が旅行や出張時に不便を感じてしまうとしても、中国にとっては大したデメリットにはならないのだろう。中国の巨大な市場規模は外界をある程度遮断しても困らない余裕を生み出している。この路線が今後もずっと続いていくのか、転換を迎える日が来るのか、株式市場を通じて観察していきたい。
   ちなみに私は今のところアリババやテンセントなどに投資するつもりはない。主に中国内だけで戦っていることが人口構成などの面でいつかあだになることがあると思うし、共産党の規制も全く読めないからだ。この方針が変わる時、おそらく中国もまた方針転換をしている。

   そろそろ出発時間が迫ってきたのでこのへんで。

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